リース料の勘定科目と仕訳例|軽貨物の帳簿づけ

リース料の勘定科目と仕訳例|軽貨物の帳簿づけ

カーリースで軽バンを使い始めると、毎月のリース料を帳簿にどう書けばよいかで手が止まりがちです。「賃借料」と「リース料」のどちらを使うのか、頭金や振込手数料はどうするのか、私用で使った分はどう分けるのか。迷うポイントはいくつもあります。

この記事では、個人事業主の帳簿づけを前提に、リース料の勘定科目の考え方と、よく使われる仕訳の例を紹介します。仮の数字で、1年分の仕訳を通して見る例も入れました。ここで紹介する仕訳は、あくまで一般的な例です。契約の内容によって処理が変わることがあるため、実際の処理は税理士に確認してください。記事の中の金額は、すべて仮の数字です。

この記事のポイント

  • リース料は「賃借料」または「リース料」の科目で処理する例が一般的。毎年同じ科目を使い続けることが大切
  • 月額に何が含まれるか(整備・税金・保険)で、科目を分けるか、まとめるかを決める
  • 頭金、振込手数料、私用分など、月額以外の部分は別に整理すると、帳簿が分かりやすくなる
  • 契約の内容によっては、税務上は売買として扱われ、仕訳の形が変わる場合がある
  • 帳簿と、契約書・請求書などの書類には、保存のルールがある

リース料の勘定科目は「賃借料」か「リース料」

個人事業主の帳簿では、車のリース料を「賃借料」または「リース料」という科目で処理する例がよく見られます。賃借料は、物を借りるための費用をまとめる科目で、リース料は、リース契約の支払いだけを分けて管理したいときに使う科目です。どちらを使う場合も、一度決めた科目を毎年同じように使い続けることが大切です。

なお、勘定科目の名前そのものよりも、何に支払った費用なのかが、帳簿と書類から追えることのほうが重要です。摘要欄に「軽バン リース料 ◯月分」のように書いておくと、確定申告のときや、あとで見直すときに困りません。

月額に含まれる内容で、科目の分け方を決める

日本自動車リース協会連合会(JALA)は、リースの種類を、ファイナンスリースとメンテナンスリースの2つに大きく分けて説明しています。ファイナンスリースは、リース会社が車両代金と自動車諸税・保険料などを負担し、車両の保守管理にかかる費用は利用者が負担する方式です。メンテナンスリースは、それに加えて、車検整備・点検整備・故障修理・代車などの費用もリース会社が負担する方式です。契約によって、月額に含まれる費用は変わります。

契約の形月額に含まれる費用科目の分け方の例
メンテナンスリース車両代金、税金・保険料、車検・点検・整備など月額をまとめて、同じ科目(賃借料またはリース料)で処理する例が一般的
ファイナンスリース車両代金、税金・保険料など。整備は含まない月額は、賃借料またはリース料。整備費は、修繕費や車両費など、別の科目で処理する例がある
月額に含まれない費用(燃料代など)契約に含まれない「車両費」などの科目にまとめて管理する人もいる

科目を細かく分けるか、まとめるかは、自分が経費の内訳を把握しやすい方法を選び、その方法を続けることが大切です。リースの種類による違いはファイナンスリースとメンテナンスリースの比較で説明しています。

よく使う仕訳の例

以下は、契約を賃貸借として処理する場合の、一般的な仕訳の例です。金額は契約ごとに異なるため、ここでは「月額」のように記載しています。

場面借方貸方補足
毎月のリース料を、事業用口座から支払った賃借料(またはリース料)普通預金請求書や引き落としの記録を保存
リース料を、個人の口座から支払った賃借料(またはリース料)事業主借事業用と個人用の口座が分かれていない場合
振込手数料がかかった支払手数料普通預金リース料と分けて記録する例
契約時に頭金を支払った前払費用(または長期前払費用)普通預金契約期間に応じて費用に振り替える例
頭金の当月分を費用に振り替えた賃借料(またはリース料)前払費用(または長期前払費用)契約期間で割った金額

頭金や初期費用は、支払った年に一度に費用にするのか、契約期間に分けて費用にするのかで、処理が変わります。契約書に記載された支払いの性質によって判断が分かれやすい部分なので、迷ったら税理士に確認しましょう。

仮の数字で、1年分の仕訳を通して見る

月額30,000円(仮)のリースを、36か月契約で結び、頭金120,000円(仮)を契約時に払った場合を考えます。事業用の口座から払い、仕事の使用割合は80%(仮)、私用が20%(仮)とします。

1年間の記帳の流れ(仮の例)

  1. 契約時頭金120,000円を支払う。前払費用として記帳する例
  2. 毎月リース料30,000円を、賃借料として記帳する。頭金の当月分も、費用に振り替える
  3. 年末私用分(20%)を、事業主貸に振り替える

頭金を一度に費用にする方法もあります。どちらの方法をとるかは、税理士に確認してください。

項目(すべて仮の数字)計算金額
1年間のリース料30,000円 × 12か月360,000円
頭金の1年分(契約期間で割った場合)120,000円 ÷ 36か月 = 約3,333円 × 12か月約40,000円
1年間の費用の合計360,000円 + 約40,000円約400,000円
私用分(20%)約400,000円 × 20%約80,000円
経費にする金額(80%)約400,000円 − 約80,000円約320,000円

この仮の例では、年末に、私用分約80,000円を、借方「事業主貸」・貸方「賃借料」で振り替えます。割合の根拠となる走行距離などの記録を残しておくことが、前提です。経費にできる範囲の考え方はカーリースの費用はどこまで経費にできるかで説明しています。

私用でも使う場合の仕訳

国税庁は、仕事と私用の両方に関係する費用(家事関連費)は、業務の遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる部分に限って必要経費にできると説明しています。車を休日にも使う場合は、走行距離などの記録をもとに、事業で使った部分を区分します。

帳簿上の処理には、支払いのたびに事業分だけを経費にする方法と、いったん全額を経費に計上して、年末にまとめて私用分を振り替える方法があります。年末にまとめる場合の例は次のとおりです。

場面借方貸方補足
年末に、私用分のリース料を振り替えた事業主貸賃借料(またはリース料)割合の根拠となる記録を残す

どちらの方法でも、割合の決め方と記録を残しておくことが前提です。記録の取り方は、軽貨物の業務記録と合わせて管理すると、手間が減ります。

契約によって処理が変わる場合

ここまでの仕訳は、リースを「借りている」ものとして処理する例です。ところが、契約の内容によっては、税務上は売買として扱われる場合があります。国税庁は、法人向けの解説で、中途解約が禁止されている(または解約時に残りのリース料のおおむね全部を支払う)こと、リース料の合計が資産の取得価額のおおむね全部に相当することなどの要件を満たすリース取引は、リース資産の売買があったものとされると説明しています。

売買として扱われる場合は、車を資産として計上し、減価償却によって費用を配分する形になります。減価償却は、資産の取得にかかった金額を、一定の方法で各年の必要経費に配分していく手続です(国税庁「減価償却のあらまし」)。個人事業主の契約がどちらに当たるか、どの方法で処理するかは、契約書を持って税理士に確認するのが確実です。

処理の形考え方帳簿の形
賃貸借として処理毎月のリース料を、その月の費用にする賃借料(またはリース料)として、毎月記帳する
売買として処理車を資産として計上し、費用を配分する車両運搬具などの資産として計上し、減価償却費を記帳する

中途解約や買取は、発生した年に処理が必要になります。契約前から想定しておくと安心です。中途解約の考え方はカーリースの中途解約と軽貨物をやめる時の注意点で、満了時の残価は残価設定とオープンエンド・クローズドエンドの違いで説明しています。

帳簿づけで押さえたいルール

  • 記帳:白色申告でも、事業所得がある人は、収入や必要経費に関する日々の取引を記帳する必要があります(国税庁 No.2080)
  • 青色申告:一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をすることが前提です(国税庁 No.2070)
  • 書類の保存:リース契約書、請求書、領収書、引き落としの記録をまとめて保存します。保存期間は、国税庁のページで確認してください
  • 科目の統一:同じ費用は毎年同じ科目で処理し、摘要欄に内容を書きます

毎月の記帳の流れ

  1. 請求書を確認リース会社の請求書で、金額と月数を確認する
  2. 記帳する会計ソフトに、定期的な取引として登録しておくと漏れが減る
  3. 通帳と突き合わせ引き落としの明細と、記帳の金額・月数がそろっているか見る
  4. 書類を保存請求書、契約書、引き落としの記録をまとめて保存する

引き落とし日と請求書の日付がずれる場合は、どちらの日付で記帳するかを決めておきます。

リース会社から、契約内容の変更や月額の改定の通知が届いたときは、その月から記帳の金額を変え、通知の書面を保存しておきます。帳簿がそろっていれば、確定申告の作業は、集計と転記が中心になります。申告の準備の流れは軽貨物ドライバーの確定申告の準備と経費の整理でまとめています。

税理士に確認したいこと

リースの処理は、契約書の内容によって判断が分かれる部分が多くあります。相談するときは、リース契約書、見積書、毎月の請求書、走行距離の記録を持参すると、話が早く進みます。次の点をまとめて確認しておくと、翌年以降も同じ方法で処理できます。

  • 自分の契約は、税務上、賃貸借と売買のどちらとして扱うのが適切か
  • 頭金や初期費用は、支払った年の費用にするのか、契約期間に分けるのか
  • 月額に含まれる整備費用や税金を、リース料とまとめて処理してよいか
  • 私用分の割合の決め方と、その根拠として残す記録
  • 契約の途中で解約した場合や、満了時に買い取った場合の処理

会計ソフトを使っている場合は、ソフトの科目設定や仕訳の登録方法もあわせて相談すると、日々の入力が楽になります。インボイス制度との関係は軽貨物ドライバーとインボイス制度で説明しています。

よくある質問

リース料は、「賃借料」と「リース料」のどちらで処理しますか?

どちらを使う例も一般的です。大切なのは、一度決めた科目を、毎年同じように使い続けることです。リース料だけを分けて管理したいときは「リース料」、物を借りる費用をまとめたいときは「賃借料」を使う例があります。迷う場合は、税理士に確認してください。

頭金は、一度に経費にできますか?

支払った年に一度に費用にする方法と、契約期間に分けて費用にする方法があり、契約書に記載された支払いの性質によって、判断が分かれやすい部分です。この記事では、契約期間に分けて費用にする例を示しましたが、実際の処理は、契約書を持って税理士に確認してください。

リース料を、個人の口座から支払った場合は、どう記帳しますか?

事業用と個人用の口座が分かれていない場合は、借方に「賃借料(またはリース料)」、貸方に「事業主借」と記帳する例があります。口座を分けておくと、記帳と突き合わせが楽になります。

私用でも使う車は、リース料をどう分けますか?

国税庁は、仕事と私用の両方に関係する費用は、業務の遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる部分に限って必要経費にできると説明しています。走行距離の記録をもとに、事業で使った割合を出します。年末にまとめて私用分を事業主貸に振り替える方法があります。

契約の途中で解約したときの処理は、どうなりますか?

解約金や精算が生じる場合は、その年の処理が必要です。契約の内容によって、処理が変わるため、契約書と請求書を持って、税理士に確認してください。契約前に、解約料の計算方法を書面で確認しておくと安心です。

インボイスは、リース料の記帳に関係しますか?

課税事業者が仕入税額控除を受けるときなどに関係します。登録の判断は、軽貨物の仕事の取引先や、課税事業者かどうかによって変わります。詳しくは、軽貨物ドライバーとインボイス制度で説明しています。

まとめ

リース料は「賃借料」または「リース料」の科目で処理する例が一般的で、頭金や手数料、私用分は別に整理すると分かりやすくなります。月額に含まれる内容によって、科目を分けるか、まとめるかを決め、決めた方法を毎年続けましょう。ただし、契約の内容によっては、税務上の扱いが変わり、仕訳の形も変わります。この記事の仕訳は、一般的な例として参考にし、実際の処理は、契約書を持って税理士に確認してください。

ケイモビは比較メディアであり、契約の内容は、各サービス提供会社の契約書・公式情報でご確認ください。月額に含まれる費用をそろえて比べたいときは比較のポイントを、自分に合う条件を整理したいときは無料プラン診断をご利用ください。

出典・確認先

本記事は一般的な情報です。契約条件は各サービス提供会社の公式情報を、税務・手続きについては専門家や公式窓口をご確認ください。

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