軽貨物の車両維持費|燃料・保険・整備を月単位で整理する

軽貨物の車両維持費|燃料・保険・整備を月単位で整理する

軽貨物の仕事では、売上から車の維持費を差し引いた分が、実際に手元に残るお金に近くなります。ところが維持費は、毎月かかるもの、年に一度まとめてかかるもの、走った分だけかかるものが混ざっていて、全体をつかみにくいのが難点です。

この記事では、軽バンの維持費を項目ごとに分け、月単位にならして整理する方法を紹介します。税金と自賠責保険は、公的な資料で金額を確認できるため、月あたりに直す計算も示します。燃料代、整備、保険、駐車場などは、車、地域、走行距離、契約によって大きく変わるため、計算の手順と確認先を中心に説明します。記事の中で「仮」と書いた金額は、考え方をつかむための仮の数字です。

この記事のポイント

  • 維持費は「毎月かかる」「年に一度かかる」「走った分だけかかる」の3種類に分けると整理しやすい
  • 公的な資料で確認できる軽自動車の営業用の法定費用(軽自動車税・重量税・自賠責保険)は、月あたりに直すと、合計で約1,260円になる(車検2年・自賠責24か月の場合の試算)
  • 年単位の費用は月数で割り、走行に比例する費用は月間走行距離から見積もって、月単位にそろえる
  • リースの月額に含まれる費用は、維持費の表から外して、二重に数えない
  • 維持費は事業に使った部分が必要経費の対象。領収書と走行記録を残しておく

軽バンの維持費の内訳

まず、軽バンにかかる費用を洗い出します。次の表は、軽貨物の仕事でよく出てくる維持費を、かかり方で分けたものです。

費用かかり方月単位にする方法金額の確認先
燃料代(充電代)走った分だけ月間走行距離 ÷ 燃費 × 燃料単価給油や充電のレシート
任意保険・貨物保険毎月または年に一度年払いなら12で割る保険会社・代理店の見積もり
自賠責保険車検に合わせて(12か月・24か月など)保険料を、加入期間の月数で割る国土交通省の自賠責保険・共済ポータルサイト
軽自動車税(種別割)年に一度年額を12で割る市区町村の納税通知書、総務省の資料
自動車重量税車検のとき車検期間の月数で割る財務省の資料、車検の見積もり
車検・点検・整備決まった時期、走行距離や期間ごと1回分の見込み額を、期間の月数で割る整備工場の見積もり
タイヤなどの消耗品走行距離に応じて交換交換までの距離から、月あたりを出す整備工場、販売店の見積もり
駐車場毎月そのまま契約書
通行料使った分だけ過去の実績から、月平均を出す領収書、利用明細

すべての項目を、最初から正確に出す必要はありません。分かるものから埋め、分からないものは見積もりを取ったり、数か月の実績で置き換えたりしていきましょう。

見落としやすいのが、季節や状況によって発生する費用です。雪の多い地域ではスタッドレスタイヤの購入や保管、夏場はエアコンの使用による燃料代の増加などがあります。また、事故や故障で車が使えない日の代車費用や、仕事を休んだことによる売上の減少も、広い意味での維持費として考えておくと、手元の資金に余裕を持たせやすくなります。

税金と自賠責保険|公的な資料で確認できる金額

維持費のうち、税金と自賠責保険は、国や自治体の資料で金額を確認できます。ここでは、軽貨物(営業用の軽四輪貨物車)の場合の金額を、資料から拾いました。金額は、改正されることがあります。実際の金額は、納税通知書、車検の見積もり、保険の申込みの画面で確認してください。

費用公的な資料の金額出典月あたりの試算
軽自動車税(種別割)貨物用・営業用:年3,800円(平成27年4月1日以後に最初の新規検査を受けた軽四輪車の標準税率)。最初の新規検査から13年を経過した車は、年4,500円総務省3,800円 ÷ 12か月 = 約317円
自動車重量税軽自動車・営業用:車検期間1年で2,600円、2年で5,200円(当分の間税率)財務省5,200円 ÷ 24か月 = 約217円(1年の場合は2,600円 ÷ 12か月で、同じ約217円)
自賠責保険軽自動車:24か月で17,540円、12か月で11,440円(令和6年4月以降始期、離島以外の地域)国土交通省17,540円 ÷ 24か月 = 約731円(12か月の場合は約953円)

車検が2年、自賠責が24か月の場合、この3つを月あたりに直すと、317円+217円+731円で、合計約1,260円です。この3つは、走行距離に関係なく、毎月ほぼ決まった額になります。

  • 軽自動車税は、軽自動車税(種別割)の標準税率です。平成27年3月31日までに最初の新規検査を受けた車は旧税率(貨物用・営業用は年3,000円)が適用されます。市区町村の条例や、車の年式、環境性能による軽減・重課で、税額が変わることがあります。毎年の納税通知書で確認してください
  • 自動車重量税は、財務省の資料の注に、13年超・18年超の経年車や、エコカー減税などで、適用される税率が異なると書かれています
  • 自賠責保険の表は、国土交通省のページで、自家用自動車(普通自動車・軽自動車など)の項目に載っている金額です。事業用の黒ナンバー車の保険料は、加入するときに、保険会社や代理店で確認してください

なお、軽自動車の車検の費用には、重量税のほかに、検査の手数料や整備費用がかかります。車検の費用は、整備工場の見積もりで確認し、期間の月数で割って、月単位にならします。 車検の時期と費用の内訳は軽貨物(軽バン)の車検、軽自動車税の区分は軽貨物(黒ナンバー)の税金で整理しています。

走った分だけかかる費用|燃料代の見積もり

燃料代は、走行距離に比例してかかります。月間の走行距離を、1日の配送ルートの距離 × 月の稼働日数で出し、燃費と燃料の単価で計算します。

(すべて仮の数字)計算
月間走行距離70km × 25日 = 1,750km
燃料の使用量(燃費15km/L)1,750km ÷ 15km/L = 約117L
月の燃料代(170円/L)約117L × 170円 = 約19,800円

燃費は、メーカーの公表値と、配送での実際の値がずれることがあります。止まったり走ったりを繰り返す配送では、給油の記録から実際の燃費を計算し、見積もりを更新すると精度が上がります。燃料の単価は、時期によって変わります。軽EVバンの場合の電気代の考え方は、軽バンのタイプ別比較で、仮の数字を使って説明しています。

点検整備の費用|使用者の義務として必要になる

国土交通省は、自動車の点検整備は使用者の義務として、法令に定められていると説明しています。事業用の自動車は、日常点検を、1日1回、運行の前に行います。定期点検は、車種や用途によって、時期と点検項目の数が異なり、同じ説明の表では、バス・トラック・タクシー(事業用)は3か月ごと・12か月ごとと示されています。一方、貨物軽自動車運送事業者に向けた安全対策のよくある質問(FAQ)では、貨物軽自動車運送事業者の車両の点検は、自家用乗用車などと同様に、適切な時期に実施する日常点検整備と、1年に1回以上実施する定期点検整備の2種類と説明されています。軽貨物の車は、この説明のとおり、1年に1回以上の定期点検整備が必要です。また、業務前の点呼では、車両の日常点検の実施または確認を行います。点検の費用や、具体的な時期は、整備工場に確認してください。

点検整備の費用は、年に何回、いくらかかるかを整備工場に聞き、年間の見込み額を12で割って、月単位にします。整備の範囲がリース料に含まれる場合は、維持費の表から外します。方式による違いはファイナンスリースとメンテナンスリースの比較で説明しています。

月単位にならす手順

月単位の維持費を出す4つの手順

  1. 走行距離を見積もる1日の配送ルートの距離 × 月の稼働日数。繁忙期の距離も控える。燃料代、タイヤなどを、月間走行距離から計算する
  2. 年単位の費用を割る税金、年払いの保険料、車検などを、月数で割る
  3. 毎月の費用を足す駐車場、月払いの保険料、リース料などを加える
  4. 実績で見直す3か月ほどたったら、領収書の合計と見積もりを比べて直す

計算した結果は、表計算ソフトやノートに、「項目」「月あたりの金額」「根拠」の3列で残しておくと便利です。根拠の欄に、「年払い保険料 ÷ 12」「1日の距離 × 稼働日数」のように書いておけば、条件が変わったときにすぐ更新できます。見積もりを出すときは、少し多めに見ておくのが安全です。燃料の単価は時期によって変わりますし、思わぬ修理が必要になることもあります。

仮の例|1台あたりの月の維持費の見込み

項目月あたり根拠
税金・自賠責(法定費用)約1,260円公的な資料の金額から計算(上の表)
燃料代約19,800円仮(月1,750km、15km/L、170円/L)
任意保険10,000円仮
駐車場8,000円仮
点検・整備・消耗品12,000円仮(年14.4万円 ÷ 12)
合計約51,100円仮の数字を含む

たとえば、月の報酬の見込みが30万円(仮)なら、維持費の約51,100円を引いて、約248,900円が、税金や社会保険料、生活費を考える前の金額です。リースの月額や、購入の返済がある場合は、さらに加えます。報酬が走行距離に比例しない案件では、距離が長いほど、維持費の割合が大きくなります。案件の条件を比べるときにも、この表が役立ちます。

毎月の確認項目としては、燃料代の合計と走行距離(実際の燃費が分かります)、整備や修理の支払い、保険料や駐車場代の引き落とし、の3つを押さえておけば十分です。月末に5分ほどで確認する習慣をつけると、見積もりとのずれに早く気づけます。

リースの月額に含まれる費用との関係

カーリースでは、月額に税金や車検、点検、オイル交換などが含まれているプランがあります。JALAは、ファイナンスリースでは、リース会社が車両と自動車諸税・保険料などの関係費用を負担するが、契約内容によっては、自動車諸税・自賠責保険・任意保険を含めない場合もあると説明しています。含まれる範囲は、提供会社やプランによって異なるため、契約書やプランの説明で確認し、維持費の表から、月額に含まれる項目を外して考えます。そうしないと、同じ費用を二重に数えてしまいます。

項目リース月額に含まれる場合含まれない場合
税金・自賠責・車検維持費の表から外す年額・1回分を月単位にして加える
点検・オイル交換含まれる回数と範囲を確認する見込み額を月単位にして加える
消耗品(タイヤなど)交換の条件を確認する走行距離から見積もる
保険(任意保険)補償内容と、事業用の対象かを確認する自分で加入し、保険料を加える

整備を含むプランの中身はメンテナンスリースで月額に含まれるもので詳しく整理しています。保険については、事業用の車として必要な補償を黒ナンバーの任意保険で確認できます。リースの総額の計算はリースの総額の比べ方で説明しています。

維持費を経費として記録する

国税庁は、事業所得の必要経費を、収入を得るために直接かかった費用や、その年に生じた業務上の費用と説明しています。軽貨物の車の維持費も、事業に使った部分が必要経費の対象になります。

休日に私用でも使う車の場合、仕事と私用の両方に関係する費用は、業務の遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる部分に限って、必要経費にできます。走行距離の記録は、維持費の見積もりにも、経費の区分にも使えるので、毎日つけておくと二度役に立ちます。

  • 給油のたびにレシートを保管し、走行距離メーターの値をメモする
  • 駐車場や保険の契約書、支払いの記録をまとめて保存する
  • 私用で使った日と距離を分けて控える

経費にできる範囲の考え方はカーリースの費用はどこまで経費にできるかで解説しています。リース料の帳簿づけはリース料の勘定科目と仕訳例で説明しています。自分のケースの判断は、税務署や税理士に確認してください。

維持費を抑えるために見直したいこと

  • 配送ルート:同じ件数でも、回る順番で走行距離は変わる。燃料代とタイヤの減りに直結する
  • 運転の仕方:急な加速や長いアイドリングを控えると、燃料代と消耗品の負担を抑えやすい
  • 日常点検:タイヤの空気圧や灯火類を出発前に確認すると、故障で仕事が止まる日を減らせる
  • 保険の補償:補償の重なりや不足がないか、契約更新のたびに確認する
  • 契約の条件:走行距離の上限や整備の範囲が使い方に合っているか、更新や乗り換えの前に見直す

維持費は、一度計算して終わりではなく、季節や案件の変化に合わせて見直すものです。半年に一度は、表を更新しておきましょう。

よくある質問

軽貨物の維持費は、月にいくらくらいですか?

車、走行距離、地域、契約によって大きく変わるため、一律の金額は示せません。この記事の仮の例では、法定費用が月約1,260円、燃料・保険・駐車場・整備などの仮の金額を含めて、月約51,100円になりました。自分の走行距離と契約の内容を当てはめて、見積もってください。

税金や自賠責の金額は、どこで確認できますか?

軽自動車税は、毎年届く市区町村の納税通知書で、自動車重量税と車検の費用は、車検の見積もりで、自賠責保険は、保険会社や代理店、国土交通省の自賠責保険・共済ポータルサイトで確認できます。

車検の費用は、月に直すと、いくらですか?

車検の費用は、重量税、自賠責保険、検査の手数料、整備費用の合計です。整備工場の見積もりを、車検の期間の月数(2年なら24か月)で割ると、月あたりの金額が出ます。重量税と自賠責保険の分は、この記事の表で、月約948円(217円+731円)です。

リースなら、維持費はかかりませんか?

リースの月額に含まれる費用は、別に払う必要がありませんが、燃料代は含まれません。また、含まれる範囲は契約によって違います。税金・自賠責・整備・保険のうち、何が含まれて、何が含まれないかを、書面で確認してください。

維持費は、全額、経費になりますか?

事業に使った部分が必要経費の対象になります。私用でも使う場合は、業務の遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる部分に限られます。区分の根拠として、走行距離の記録を残しておきましょう。個別の判断は、税務署や税理士に確認してください。

見積もりと実績がずれたら、どうしますか?

3か月ほど記録をつけて、領収書の合計と見積もりを比べ、金額と根拠を直します。燃費が実際と違う場合は、給油の記録から実際の燃費を計算し直します。半年に一度は、表全体を見直しましょう。

まとめ

軽貨物の車両維持費は、毎月かかるもの、年に一度かかるもの、走った分だけかかるものに分け、月単位にならすと全体がつかめます。税金と自賠責保険は、公的な資料で金額を確認でき、月あたりに直すと約1,260円(車検2年・自賠責24か月の試算)です。リースの月額に含まれる費用は表から外し、二重に数えないようにしましょう。走行距離と領収書の記録は、見積もりの精度を上げ、経費の整理にも役立ちます。

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