カーリースの費用はどこまで経費にできる?個人事業主の基本

カーリースの費用はどこまで経費にできる?個人事業主の基本

軽貨物の仕事を始めるときに、多くの人が気にするのが「リース料は経費にできるのか」という点です。車は仕事の道具なので費用を経費に入れたい一方で、休日に私用でも使うなら、どこまで入れてよいのか迷うところです。

この記事では、国税庁の情報をもとに、個人事業主が車の費用を経費として考えるときの基本を整理します。具体的な金額や割合は人によって異なるため、ここでは考え方、計算の例、判断に必要な記録の残し方を中心に説明します。自分のケースは税務署や税理士に確認してください。情報は2026年10月に確認しています。

この記事のポイント

  • 必要経費は、収入を得るために直接かかった費用や、業務上の費用です。リース料も事業に使った部分が対象になります
  • 仕事と私用の両方で使う車は、事業に使った部分を取引の記録などで明らかに区分できる金額に限られます(家事按分の考え方)
  • 国税庁の通達では、事業に必要な部分が50%を超えるかどうかが目安になります。50%以下でも、明らかに区分できれば、その部分は経費にできます
  • 経費の根拠になるのは帳簿と領収書・契約書です。保存のルールが決められています
  • 契約の内容によって税務上の扱いが変わることがあるため、契約書を持って税理士に確認すると確実です

先に結論:リース料は全額経費になる?

「リース料は全額経費になる」と言い切ることはできません。経費になるかどうかは、車の持ち方ではなく、事業にどれだけ使ったかで決まります。使い方ごとに、考え方を整理すると次のようになります。

車の使い方経費の考え方やっておくこと
仕事だけに使う家事関連費の区分は問題になりません。事業に必要な費用として整理します仕事専用で使っていることを、記録で説明できるようにする
仕事と私用の両方で使う家事関連費にあたります。事業に必要だったことが明らかに区分できる金額が、経費の対象になります走行距離や使用日数を記録し、按分の割合の根拠を残す
私用が中心で、仕事は一部事業に必要な部分を明らかに区分できる場合に限り、その部分が対象になります区分できる根拠が弱いと認められないことがあるため、早めに税理士に相談する

黒ナンバーの車でも同じです。経費の範囲は、ナンバーの色ではなく、実際の使い方で決まります。

必要経費の基本的な考え方

国税庁の「必要経費の知識」では、事業所得の必要経費を、次の2つとして説明しています。

  • 総収入金額に対応する売上原価その他、その総収入金額を得るために直接要した費用の額
  • その年に生じた販売費、一般管理費その他、業務上の費用の額

軽貨物の仕事に置き換えると、配送の仕事をするためにかかった費用が対象になる、というのが出発点です。ここで大切なのは、「車の費用だから経費」ではなく「事業に使った費用だから経費」という順番で考えることです。

軽貨物の仕事は、車がなければ成り立たない事業です。車まわりの費用は経費の中でも大きな割合を占めやすく、計上の仕方が所得の額に与える影響も大きくなります。だからこそ、最初の年から「何に使ったか」を説明できる形で記録を残しておくことが、あとで自分を守ることにつながります。

経費になる「年」の考え方

国税庁の同じページでは、必要経費になるのは、その年において債務が確定した金額と説明されています。支払ったかどうかだけでは判断しません。債務が確定しているとは、次の3つをすべて満たす場合です。

  1. その年の12月31日までに、債務が成立していること
  2. その年の12月31日までに、その債務に基づく給付をすべき原因となる事実が発生していること
  3. その年の12月31日までに、金額が合理的に算定できること

ただし、減価償却費のように、債務の確定によらない費用もあると記載されています。年末に、翌年分のリース料をまとめて払った場合など、どの年の経費になるか迷うときは、契約書の支払条件と一緒に税理士に確認してください。

車にかかる費用と経費の考え方

軽貨物の車まわりでは、次のような費用が出てきます。いずれも、事業に使った部分が必要経費の対象になるという考え方は同じです。

費用主な例考え方のポイント
リース料毎月の支払い、頭金や初期費用契約の内容によって扱いが変わる場合がある
燃料代ガソリン代、充電代事業での走行分が対象。私用分は区分する
保険料任意保険、貨物保険事業用の契約かどうか、補償の対象を確認
整備・車検オイル交換、タイヤ、車検費用リース料に含まれている場合は二重に計上しない
税金軽自動車税、自動車重量税リース料に含まれるかを契約書で確認。含まれる場合は二重に計上しない
駐車場・通行料月極駐車場、高速道路料金配送のための利用かどうかを記録で示す

リース料に整備費用や税金が含まれているプランでは、同じ費用を別の科目で重ねて計上しないよう注意が必要です。月額の内訳は契約書や請求書で確認できます。月単位の費用の整理は軽貨物の車両維持費を月単位で整理する方法も参考にしてください。

仕事と私用の両方で使う場合(家事按分)

国税庁は、家事上の費用は必要経費にならないとしたうえで、一つの支出が家事上と業務上の両方にかかわりがある費用を「家事関連費」と呼んでいます。この家事関連費のうち必要経費になるのは、取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合の、その区分できる金額に限られます。

「50%」の目安

所得税基本通達45-2では、家事関連費のうち「業務の遂行上必要な部分」にあたるかどうかを、その支払金額のうち、業務に必要な部分が50%を超えるかどうかで判断するとされています。ただし、業務に必要な部分が50%以下であっても、その部分を明らかに区分できる場合には、その部分に対応する金額を必要経費に算入できると定められています。

通達の文面からは、「割合が何%なら必ず認められる」という基準ではなく、事業に必要な部分を、記録で明らかに区分できるかどうかがポイントだと読み取れます。区分の根拠が弱いと、経費として認められないことがあります。

計算の例(数字は仮のものです)

考え方をつかむための、仮の例です。実際の割合は、自分の使い方と記録をもとに決めます。

項目例
月額のリース料30,000円(仮)
ある月の走行距離全体1,000km、そのうち配送800km、私用200km(仮)
事業に使った割合800km ÷ 1,000km = 80%
経費にする金額30,000円 × 80% = 24,000円
経費にしない金額30,000円 − 24,000円 = 6,000円

月額のリース料30,000円(仮)を、走行距離の割合で分けるイメージ

仕事 80%|24,000円私用 20%|6,000円

配送800km ÷ 全体1,000km = 80%。仕事の部分(24,000円)が経費の対象で、私用の部分(6,000円)は経費にしません。数字は考え方をつかむための仮の例です。

燃料代や駐車場代なども、同じ割合で区分する方法があります。ただし、燃料代は走行距離の実績で分けられる一方、月極の駐車場代は、使い方によって別の分け方が合う場合もあります。使う割合の決め方は、使い方に合った方法を選びます。

按分の根拠を残す方法

  • 配送日と走行距離を日ごとに記録する(業務記録とあわせて管理すると手間が減ります)
  • 私用で使った日や距離も分けて控えておく
  • 月の初めと終わりの走行メーターの数字を、写真やメモで残す
  • 割合の決め方を毎年変えず、根拠をメモで残す

業務記録は、貨物軽自動車の安全対策の面でも関わります。詳しくは軽貨物の業務記録とはで解説しています。

リース契約と購入で扱いが変わる点

車を購入した場合は、購入代金をその年に一度に経費にするのではなく、減価償却によって耐用年数にわたって各年の必要経費に配分するのが基本です。国税庁の「減価償却のあらまし」でも、業務用の資産の取得費用は、取得時に全額を経費とせず、使用可能期間にわたって各年分の必要経費に配分すると説明されています。一方、リースは毎月の支払いを経費として処理するイメージを持たれがちです。

項目購入リース
経費の入り方減価償却によって、耐用年数にわたって配分する契約の内容による。毎月のリース料として処理する場合と、売買として扱われる場合がある
一度に払う費用購入代金の全体を、一度に経費にはしない頭金や初期費用の扱いは、契約書の記載によって変わる
届出・手続き減価償却の方法を届け出る場合がある(新しく業務を始めた場合は、翌年の3月15日まで)契約内容の確認が中心
確認すること耐用年数、償却方法、取得価額契約書、中途解約の条件、所有権の扱い

購入の場合の耐用年数は、財務省令の別表で定められています。同じ軽自動車でも、用途によって区分が分かれる表になっているため、自分の車の区分は、国税庁の耐用年数表で確認してください。

リースでも「売買」として扱われる場合

リースでも、契約の内容によっては、税務上は売買として扱われる場合があります。国税庁は法人向けの解説で、中途解約が禁止されているなどの要件を満たすリース取引は、リース資産の売買があったものとされると説明しています(所有権移転外リース取引なども含めて、No.5702・No.5704で解説されています)。

これらは法人税の解説が中心で、個人事業主にそのまま当てはまるかどうかは、契約の内容や処理の方法で変わることがあります。契約書を持って、税理士に確認しておくと安心です。具体的な帳簿のつけ方はリース料の勘定科目と仕訳例で解説しています。

リースと購入の違いを、費用の面だけでなく、仕組みの面からも比べたい人は軽バンはリースと購入どっちがいい?も参考にしてください。

帳簿と領収書を残す

経費として計上するには、その根拠を示せることが前提です。国税庁は、事業所得がある人は白色申告でも、収入や必要経費に関する日々の取引を記帳し、取引で作成・受領した書類を保存する必要があると説明しています。青色申告の場合は、一定水準の記帳をして、それに基づいて正しく申告することが求められます。

白色申告者の帳簿や書類の保存期間は、国税庁のページで次のように示されています。

保存するもの保存期間
収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿)7年
業務に関して作成したその他の帳簿(任意帳簿)5年
業務に関して作成・受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類5年

青色申告の場合の保存のルールは、国税庁の青色申告制度のページで確認できます。リースでは、次のものを保存しておくと、あとで説明しやすくなります。

  • リース契約書、毎月の請求書や引き落としの記録
  • 燃料代、駐車場、通行料などの領収書やレシート
  • 走行距離と使用目的の記録(家事按分の根拠)

確定申告の準備の流れは軽貨物ドライバーの確定申告、消費税とインボイスの関係は軽貨物ドライバーとインボイス制度で整理しています。

よくある疑問

黒ナンバーの車なら、費用は全額経費になりますか

黒ナンバーは、貨物軽自動車運送事業に使う車であることを示すものです。ただし、経費にできる範囲は、ナンバーの色ではなく実際の使い方で決まります。黒ナンバーの車でも、休日の買い物や家族の送迎に使っていれば、その部分は区分が必要です。反対に、仕事以外に一切使わない車であれば、その事実を記録で示せるようにしておきます。

開業前に支払ったリース料や頭金はどうなりますか

開業の準備のために支払った費用の扱いは、支払った時期や内容によって考え方が分かれます。頭金や初期費用を一度に費用にするのか、契約期間に分けるのかも、契約書の記載によって変わることがあります。支払いの記録と契約書を保存したうえで、税理士に確認してください。開業届と青色申告の手続きは軽貨物の開業届と青色申告承認申請で整理しています。

月額に整備費用が含まれている場合は

整備費用込みの月額は、まとめて「リース料」として処理する例が一般的です。その場合、別に整備費用として計上しないよう注意しましょう。月額とは別に支払った消耗品の交換費用などは、領収書をもとに別の項目で記録します。リース料に何が含まれるかは、メンテナンスリースで月額に含まれるもので確認できます。

ガソリン代や高速代は、どう扱いますか

仕事で走った分が、必要経費の対象になります。私用の分は区分します。ガソリン代は、走行距離の実績で分けると説明しやすくなります。高速道路の料金は、配送のための利用だとわかる記録(日付、区間、配送先など)を残しておきます。

年の途中でリースを始めたり、やめたりした場合は

その年に債務が確定した分が、その年の必要経費の対象になります。契約を始めた月、終えた月の日割りの扱いや、解約金の扱いは、契約書の記載で変わります。解約金が発生しそうなときは、カーリースは中途解約できる?もあわせて確認してください。

年末までに整えておくチェックリスト

  • ☐ リース契約書と、月額の内訳(何が含まれるか)を手元にそろえた
  • ☐ 毎月のリース料の請求書、または引き落としの記録を保存している
  • ☐ 走行距離と使用目的(仕事・私用)の記録をつけている
  • ☐ 按分の割合の決め方と根拠を、メモに残している
  • ☐ 燃料代、駐車場代、通行料の領収書をそろえている
  • ☐ 整備費用や税金が月額に含まれる場合、重ねて計上していない
  • ☐ 迷う費用は、契約書と記録を持って税理士か税務署に確認する予定を立てた

まとめ

カーリースの費用は、事業に使った部分が必要経費の対象になるというのが基本の考え方です。私用でも使う車は、事業に必要な部分を、取引の記録などで明らかに区分できる金額に限って、経費にできます。国税庁の通達では、事業に必要な部分が50%を超えるかどうかが目安で、50%以下でも明らかに区分できればその部分は対象になります。

契約の内容によって税務上の扱いが変わることもあるため、自分の契約で迷ったら、契約書と記録を持って税務署や税理士に相談してください。ケイモビは比較メディアであり、審査・契約・納車・整備は各サービス提供会社が行います。月額に含まれる費用を見比べたい方は比較のポイントもあわせてご覧ください。

出典・確認先

本記事は一般的な情報です。契約条件は各サービス提供会社の公式情報を、税務・手続きについては専門家や公式窓口をご確認ください。

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