リースのプランを比べていると、「整備込み」と「整備なし」の両方が見つかり、どちらを選ぶべきか迷うことがあります。整備費用をリース料に含めるかどうかは、月額だけでなく、車検や点検、故障のときに、お金と手間を誰が負担するかを決める、大切な分かれ目です。 車検そのものの時期と費用の内訳は、軽貨物(軽バン)の車検で整理しています。
この記事では、日本自動車リース協会連合会(JALA)の説明をもとに、ファイナンスリースとメンテナンスリースの違いを整理します。さらに、国土交通省が説明している点検整備の義務、仮の数字での総額の比べ方、走行距離が伸びやすい軽貨物で整備費をどう考えるかをまとめます。どちらが優れているというものではなく、働き方や管理の仕方によって、合う方式が変わります。記事の中の金額は、考え方をつかむための仮の数字です。
この記事のポイント
- ファイナンスリースは、車両の保守管理にかかる費用を利用者が負担し、メンテナンスリースは、車検整備・点検整備・故障修理・代車などの費用もリース会社が負担する方式
- 名称が同じでも、リース料に含まれる内容は会社ごとに違い、メンテナンスリースでも利用者の負担や回数の制限がある項目がある
- 整備費を含まないプランは、自分で払う整備費の見込みを足して比べる。整備費が見込みを超えると、総額の順位が入れ替わることがある
- どちらの方式でも、点検整備は使用者の義務で、事業用の車は日常点検を1日1回、運行の前に行う
- 契約前に、車検・点検・消耗品・故障修理・代車・事故の扱いを、項目ごとに書面で確認する
2つの方式の定義|誰が、何を負担するのか
JALAは、自動車リースを大きく2種類に分けて説明しています。ファイナンスリースは、リース会社が車両代金と自動車諸税・保険料などの費用を負担し、車両の保守管理に関する費用はリース契約に含めず、お客様が負担する方式で、金融的な性格が強いとされています。メンテナンスリースは、それらに加えて、車検整備・点検整備・故障修理・代車の提供などのメンテナンス費用も、リース会社が負担する方式です。
JALAの用語集でも、ファイナンスリースは「保守サービスを伴わない金融的性格の強いリース」、メンテナンスリースは、自動車リースでは「点検整備・修理・車検などを伴ったリース」と説明されています。ただし、リース会社によって名称やリース料に含まれる内容が違う場合があるため、各社の基本内容を確認する必要があるとされています。
国民生活センターの報告書も、個人向けのカーリースでは、法定点検整備等の車の保守管理に関する費用も含む方式(メンテナンスリース)が主流だが、保守管理費用を除くことで毎月の支払いを抑える方式もあると説明しています。
場面ごとの比較表
一般的な違いを、整備の場面ごとに整理しました。実際の範囲は契約によって異なるため、確認する観点として使ってください。
| 場面・費用 | ファイナンスリース | メンテナンスリース |
|---|---|---|
| 車両代金 | リース料に含まれる | リース料に含まれる |
| 自動車諸税・保険料 | リース会社が負担するが、契約によっては、自動車諸税・自賠責保険・任意保険を含めない場合もある | リース料に含まれるのが基本だが、契約による |
| 車検・法定点検整備 | 利用者が負担 | リース会社が負担 |
| 一般整備・消耗部品の交換 | 利用者が負担 | リース会社が負担する範囲は、会社ごとに差がある |
| オイルなどの補充交換 | 利用者が負担 | 利用者負担とする例もある |
| 故障修理 | 利用者が負担 | リース会社が負担(範囲は契約による) |
| 代車 | 利用者が負担 | 提供される場合があるが、契約年数による制限や別途負担の例もある |
| 燃料費 | 利用者が負担 | 利用者が負担 |
メンテナンスリースでも、自分で払うことがある項目
JALAは、メンテナンスリースを、お客様の負担項目が最も少ないリース方式としています。基本的には、リース料以外に燃料費を負担すればよい、と説明しています。そのうえで、メンテナンスの内容はリース会社によって差があるとして、次のような例を挙げています。
| 項目 | JALAが挙げている例 |
|---|---|
| パンク修理の費用 | お客様の負担としている例がある |
| オイルなどの補充交換の費用 | お客様の負担としている例がある |
| 保険の免責金額 | お客様の負担としている例がある |
| 代車の費用 | 契約年数によって制限したり、別途お客様の負担としたりする例がある |
| バッテリー交換 | 契約年数によって制限したり、別途お客様の負担としたりする例がある |
| タイヤ交換 | 契約年数によって制限したり、別途お客様の負担としたりする例がある |
「整備込み」と書かれていても、どこまで含まれるかは同じではありません。契約書に書かれた対象と、回数や金額の上限を、項目ごとに確認しましょう。メンテナンスリースで月額に含まれるものは、メンテナンスリースで月額に含まれるもので詳しく説明しています。
点検整備は、どちらの方式でも使用者の義務
国土交通省は、自動車の点検整備はユーザー(使用者)の義務として、法令に定められていると説明しています。メンテナンスリースで整備費用がリース料に含まれていても、点検の義務が、利用者から無くなるわけではありません。
点検整備の流れ(国土交通省の説明をもとにした図)
- 日常点検事業用の自動車は、1日1回、運行の前に実施する
- 定期点検軽貨物の車は、1年に1回以上、定期点検整備を実施する(FAQ)
- 点検整備記録簿点検の結果と整備の概要を記録し、自動車に備えつけて、一定期間保存する
- 整備工場へ異常を感じたら、整備工場に相談する
定期点検は、国の認証を受けた整備工場に依頼することもできます。
国土交通省の説明では、日常点検は、いわゆるマイカーは適切な時期に行えばよいのに対して、事業用自動車は、1日1回、その運行の前に実施するとされています。
定期点検の時期と点検項目の数は、車種や用途によって異なります。国土交通省の点検整備のページの表では、自家用乗用車などのマイカー(軽自動車を含む)は1年ごとと2年ごと、バス・トラック・タクシー(事業用)は3か月ごと(51項目)と12か月ごと(101項目)と示されています。一方、貨物軽自動車運送事業者に向けた安全対策のよくある質問(FAQ)では、貨物軽自動車運送事業者の車両の点検は、自家用乗用車などと同様に、適切な時期に実施する日常点検整備と、1年に1回以上実施する定期点検整備の2種類と説明されています。軽貨物の車は、FAQの説明のとおり、1年に1回以上の定期点検整備が必要です。点検の時期や費用は、整備工場に確認してください。
点検整備記録簿は、自動車に備えつけて、一定期間保存することが求められています。3か月点検・6か月点検の対象の車は1年間、1年点検の対象の車は2年間の保存とされています。業務前の点呼では、車両の日常点検の実施または確認も行います。メンテナンスリースでも、日々の日常点検と、点検の時期を守ることは、使用者としての自分の役割として残ります。
総額で比べる|整備費が増えると、順位が入れ替わる仮の例
5年(60か月)契約で、メンテナンスリース(プランA)と、ファイナンスリース(プランB)を比べます。数字はすべて、計算の考え方を示すための仮のもので、実際の料金や整備費ではありません。ファイナンスリースの整備費は、自分で払う費用の見込みを足して比べます。
| (すべて仮の数字) | プランA:メンテナンスリース | プランB:ファイナンスリース |
|---|---|---|
| 月額 | 32,000円 | 24,000円 |
| 月額×60か月 | 1,920,000円 | 1,440,000円 |
| 自分で払う費用(見込み) | 月額に含まれない分 3,000円×60か月=180,000円 | 車検・点検・整備 年6万円+消耗品 年4万円+修理の備え 年2万円=年12万円×5年=600,000円 |
| 5年間の総額の見込み | 2,100,000円 | 2,040,000円 |
見込みどおりなら、プランBのほうが6万円安くなります。ところが、配送で走行距離が伸びて、整備費が見込みの1.5倍(90万円)かかった場合は、プランBの総額は234万円になり、プランAを24万円上回ります。
| 整備費の実費(仮) | プランAの総額 | プランBの総額 | 安いのは |
|---|---|---|---|
| 見込みどおり(60万円) | 210万円 | 204万円 | プランB |
| 見込みの1.5倍(90万円) | 210万円 | 234万円 | プランA |
メンテナンスリースは、整備費の増加の影響を、契約に含まれる範囲では受けにくい点が特徴です。ファイナンスリースは、整備費が少なく済めば総額が下がりますが、増えればその分が自分の負担になります。どちらが安くなるかは、走行距離や、整備の頻度で変わります。総額の計算式はリースの総額の比べ方で、月々の維持費の整理は軽貨物の車両維持費を月単位で整理する方法で説明しています。
軽貨物で、整備費をどう考えるか
走行距離と消耗品
配送の仕事は走行距離が伸びやすく、発進と停止を繰り返す走り方になりがちです。オイルやタイヤなどの消耗品の交換が多くなる可能性があります。メンテナンスリースでは、交換の回数や時期の上限が、自分の走り方で足りるかを確認します。ファイナンスリースでは、交換費用をどれだけ積み立てておくかを考えます。
故障で車が止まったときの手配
軽貨物の仕事では、車が修理に入っている間は、収入が途切れる可能性があります。メンテナンスリースでは、故障時の連絡先、修理の受付時間、代車が出るかどうか、その代車を事業に使えるかを確認しましょう。ファイナンスリースでは、修理を頼む整備工場をあらかじめ決めておき、代車が必要なときの手配方法も考えておくと、急な故障でも慌てずにすみます。
事故のときの修理
JALAの説明に、事故による修理が、メンテナンスの対象になるかどうかは書かれていません。事故の修理が対象になるか、どの保険で対応するかは、契約や保険の内容によって変わるため、契約前に確認してください。事故のときの流れは軽貨物で事故が起きたらで説明しています。
整備工場の場所と営業時間
配送の仕事は、稼働する時間や地域が決まっていることが多く、整備のために休める日が限られます。整備を受ける工場が決まっているかどうかは、契約によって異なります。工場の場所、予約の取りやすさ、営業時間が、自分の稼働に合うかを確認しておくと、整備のために仕事を休む日を減らせます。
方式ごとに検討しやすいケース
| 検討しやすい方式 | 当てはまりやすい状況 | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| ファイナンスリース | 付き合いのある整備工場がある。整備の時期や内容を、自分で判断したい。整備費を別に積み立てて管理できる | 整備費が見込みを超えても、自分の負担になる。車検などの時期に、まとまった出費が出る |
| メンテナンスリース | 車検や点検の管理の手間を減らしたい。毎月の支出を一定にして、資金計画を立てたい。故障時の手配や代車を任せたい | 含まれる範囲と、回数・金額の上限を確認する。月額は高くなりやすい |
どちらの方式でも、走行距離、中途解約、満了時の扱いといった条件は、別に確認が必要です。国民生活センターは、カーリースは原則として中途解約ができず、多くの場合は走行距離などの制約があると説明しています。満了時の残価の扱いは残価設定とオープンエンド・クローズドエンドの違いで解説しています。
契約前に、整備について確認したいこと
- 車検、法定点検の費用は、リース料に含まれるか。含まれる場合は、何回分か
- オイル、タイヤ、バッテリーなどの消耗品は、対象か。対象の場合は、回数や時期の上限があるか
- パンク修理、保険の免責金額など、利用者が負担する項目はあるか
- 故障のときの連絡先と、修理の受付時間は。修理は、指定の整備工場で受けるのか
- 代車は出るか。代車は、事業に使えるか。日数や条件の制限はあるか
- 事故による修理は、対象になるか。対象外の場合は、どの保険で対応するか
- 返却時の原状回復の基準は何か。荷室の傷やへこみは、どう扱われるか
名称が「メンテナンスリース」であっても、これらの答えは会社ごとに違います。答えは、口頭ではなく書面で受け取り、契約書や約款のどこに書かれているかを確認しましょう。契約前の確認の流れは軽貨物のカーリース契約前チェックリストにまとめています。
よくある質問
メンテナンスリースなら、整備の費用は一切かかりませんか?
いいえ。JALAは、基本的にはリース料以外に燃料費を負担すればよいとしながらも、パンク修理、オイルなどの補充交換、保険の免責金額を、お客様の負担とする例があると説明しています。代車、バッテリー交換、タイヤ交換を、契約年数で制限する例もあります。対象と上限を、書面で確認してください。
ファイナンスリースのほうが、総額は安くなりますか?
決まっていません。ファイナンスリースは月額が低く見えやすいですが、整備費を自分で払います。仮の例のように、整備費が見込みどおりなら総額が低くなることもあれば、整備費が増えると、メンテナンスリースより高くなることもあります。
ファイナンスリースの場合、整備工場は自分で選べますか?
JALAは、ファイナンスリースでは、車両の維持管理に要する費用をお客様が負担する方式と説明しています。整備工場の指定の有無は契約によって異なるため、契約書で確認してください。
メンテナンスリースなら、点検を受けなくても大丈夫ですか?
いいえ。国土交通省は、点検整備は使用者の義務と説明しています。費用がリース料に含まれていても、日常点検や、定期点検を受ける時期は、使用者として守る必要があります。
契約したあとで、方式を変えられますか?
一般に、契約の途中で方式を変えることは難しいと考えられます。国民生活センターは、カーリースは原則として中途解約ができないと説明しています。方式は、契約前に決めておきましょう。
個人向けのリースでは、どちらが多いですか?
国民生活センターは、個人向けカーリースでは、保守管理費用も含む方式(メンテナンスリース)が主流だが、保守管理費用を除くことで毎月の支払いを抑える方式もあると説明しています。軽貨物向けのプランでどちらが多いかは、会社によって異なります。
まとめ
ファイナンスリースは、整備費を自分で負担する代わりに、整備の自由度が高く、メンテナンスリースは、整備費をリース料にまとめて、支出を一定にしやすい方式です。ただし、名称が同じでも含まれる内容は会社ごとに違い、メンテナンスリースでも、利用者の負担や回数制限がある項目があります。月額の差と、自分で払う整備費の見込みを並べ、整備費が増えたときの総額も確かめてから、判断しましょう。
リースの全体像は軽貨物のカーリースの仕組みで解説しています。ケイモビは比較メディアであり、審査・契約・納車・整備は各サービス提供会社が行います。整備の範囲を含めて各社の条件を並べるには比較のポイントを、自分に合う条件を整理するには無料プラン診断をご利用ください。
出典・確認先
- 一般社団法人日本自動車リース協会連合会 FAQ「自動車リースの種類とその内容」(2026年10月22日確認)
- 一般社団法人日本自動車リース協会連合会 FAQ「お客様が負担する費用項目」(2026年10月22日確認)
- 一般社団法人日本自動車リース協会連合会「良く使われるリース用語」(2026年10月22日確認)
- 国土交通省「点検整備の種類」(2026年10月22日確認)
- 国土交通省「貨物軽自動車運送事業者に対する令和6年法令改正に伴う安全対策強化 よくある質問とその回答(FAQ)」(2026年10月27日確認)
- 国民生活センター「カーリースに関する消費者トラブルにご注意!」(2025年9月17日公表)(2026年10月22日確認)
- 国民生活センター 同上 報告書本文(PDF)(2026年10月22日確認)
- 車検・点検の時期:軽自動車検査協会、管轄の運輸支局、認証を受けた整備工場
- 各サービス提供会社の公式サイト・契約書面(整備の範囲、整備工場、代車の条件)
