軽貨物で事故が起きたら|リース車の場合の連絡先と手順

軽貨物で事故が起きたら|リース車の場合の連絡先と手順

毎日長い距離を走る軽貨物の仕事では、どれだけ注意していても、事故に巻き込まれる可能性があります。事故の直後は気が動転し、「荷物はどうする」「リース会社に連絡するべきか」「運輸支局に報告が必要なのか」と、何から手を付ければいいか分からなくなりがちです。

この記事では、軽貨物の配送中に事故が起きたときの対応を、現場での初動(道路交通法)、関係先への連絡、保険の補償範囲、事故記録と事故報告、再び乗務する前の準備の順に整理します。令和7年(2025年)4月から、軽貨物の事業者にも義務付けられた事故記録と事故報告は、国土交通省の資料をもとに解説します。記事の中の日付は、仮の例です。

この記事のポイント

  • 事故のあとは、直ちに運転を止めて、負傷者を救護し、道路の危険を防止し、警察に報告する(道路交通法第72条)
  • リース車は、保険会社に加えて、リース会社への連絡が契約で決められていることが多い。連絡先を事前に控えておく
  • 事故が起きたら、事故記録を作り、営業所で3年間保存する(令和7年4月から)
  • 死者または重傷者を生じた事故などは、事故があった日から30日以内に、運輸支局等へ報告が必要。2人以上の死者を生じた事故などは、24時間以内に速報
  • 自賠責保険の対象は、人身事故の対人賠償のみ。物損や自分の車の修理は、任意保険の内容による

事故直後に現場でやること

道路交通法第72条は、交通事故があったときの運転者等の義務を定めています。条文では、まず、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等、必要な措置を講じなければならないとされています。

そのうえで、運転者は、警察官が現場にいるときはその警察官に、いないときは直ちに最寄りの警察署の警察官に、次の事項を報告しなければなりません。事故の大きさにかかわらず、報告が必要です。

警察への報告事項(道路交通法第72条)
交通事故が発生した日時と場所
死傷者の数と、負傷者の負傷の程度
損壊した物と、その損壊の程度
事故に係る車両等の積載物
事故について講じた措置

警察官が現場に到着するまで、現場を去ってはならない旨を、警察官から命じられることもあります。現場にいる警察官から、負傷者の救護や、道路の危険の防止などについて指示があったときは、それに従います。

事故直後の流れ

  1. 止まる・守る直ちに運転を止める。安全な場所に車を止め、後続車に知らせる
  2. 救護する負傷者を救護する。必要に応じて、救急車を呼ぶ
  3. 警察に報告日時・場所、死傷者の数、損壊した物、積載物、講じた措置を伝える
  4. 記録を残す相手の情報を確認し、現場と車の損傷、荷物の状態を写真に残す

現場での記録は、後で作る事故記録にも使えます。

  • 車を安全な場所に止め、ハザードランプや停止表示器材で、後続車に知らせる
  • 相手の氏名・連絡先・車両番号・保険会社を確認する
  • 現場や車の損傷、荷物の状態を写真に残し、発生時刻と場所をメモする

その場で示談の約束をしたり、過失割合について断定的な話をしたりするのは避け、保険会社に相談してから対応するのが基本です。

事故に備えて、車に置いておくもの

  • 保険会社・リース会社・取引先の連絡先を書いたメモ
  • 車検証と保険証券(または契約内容が分かる書類)の保管場所の確認
  • 停止表示器材と、夜間に使える照明
  • 事故時に書き留める項目(日時、場所、相手の情報、状況)を並べたメモ

関係先への連絡(リース車の場合)

現場での対応が落ち着いたら、関係先へ連絡します。誰にどの順番で連絡するかは、加入している保険と、車両の契約によって異なります。

連絡先伝えること・確認すること
保険会社・共済事故の状況、相手の情報。補償の対象になるか、修理工場の手配
リース会社事故の発生と、車の損傷状況。修理の進め方、代車、費用負担の扱い
委託元・荷主配送の遅れや中止、荷物の状態。代わりの配送の手配

リース車で確認しておくこと

リース車は、使っているのは自分でも、所有者はリース会社です。事故時の連絡義務、修理工場の指定、修理費や保険でまかなえない部分の負担、車が全損になった場合に契約がどうなるかは、契約書に定められています。今治市の消費生活情報でも、カーリースは利用方法や中途解約に制限があるなど、購入とは異なる点が多いとして、契約内容を事前に確認するよう案内されています。

事故で車が使えなくなり、契約を途中で終えることになった場合の考え方はカーリースの中途解約と軽貨物をやめる時の注意点で解説しています。事故のときに慌てないよう、リース会社と保険会社の連絡先は、車内とスマートフォンの両方に控えておきましょう。

保険の補償範囲

国土交通省の自賠責保険・共済の案内では、自賠責保険・共済の対象は、人身事故による対人損害賠償のみで、物損事故は補償の対象にならないとされています。支払限度額は、被害者1人につき、死亡による損害が最高3,000万円、後遺障害による損害が最高4,000万円〜75万円(等級による)、傷害による損害が最高120万円です。

損害自賠責保険・共済任意保険・共済
相手のけがや死亡(対人)対象。ただし、支払限度額がある自賠責の限度額を超えた部分に支払われる
相手の車や物(対物)対象外契約内容により、補償される
加害者自身の治療費・自分の車の損害対象外契約内容により、補償される

国土交通省は、自賠責保険・共済では補償が十分でないと考える方は、自賠責保険・共済と、自動車保険・共済(任意保険・共済)の両方に加入することをお勧めするとしています。相手の車や、自分のリース車の修理費は、任意保険の内容によって補償の有無が変わります。補償内容の考え方は黒ナンバーの任意保険で整理しています。

事故記録を作って、3年間保存する

令和7年4月から、軽貨物の事業者は、事業用自動車に係る事故が起きたときに、事故の記録を作成することが義務になりました。国土交通省のFAQでは、次の事項を記録し、その事業用自動車の運行を管理する営業所で、3年間保存するとされています。

記録する事項(FAQ)
1. 乗務員等の氏名
2. 事業用自動車の車両番号
3. 事故の発生日時
4. 事故の発生場所
5. 事故の当事者(乗務員等を除く)の氏名
6. 事故の概要(損害の程度を含む)
7. 事故の原因
8. 再発防止対策

国土交通省のウェブサイトには、事故記録の様式例が掲載されています。また、その日の業務記録にも、人身事故や物損事故などが起きた場合は、その概要と要因を記録する必要があります。業務記録の書き方は軽貨物の業務記録とはを参考にしてください。

運輸支局への事故報告が必要な場合

すべての事故で報告が必要なわけではありませんが、一定の事故については、国土交通大臣への報告が義務付けられています。FAQによると、令和7年4月以降に引き起こした事故が対象です。軽貨物の事業者に関わる主な事故は、次のとおりです。

報告が必要な主な事故(FAQ)
自動車が転覆し、転落し、火災を起こし、または鉄道車両と衝突し、もしくは接触したもの
10台以上の自動車の衝突または接触を生じたもの
死者または重傷者を生じたもの
10人以上の負傷者を生じたもの
危険物、火薬類、高圧ガス、毒物・劇物、可燃物などの積載物が飛散し、または漏えいしたもの
酒気帯び運転、無免許運転または麻薬等運転を伴うもの
運転者の疾病により、事業用自動車の運行を継続できなくなったもの
救護義務違反があったもの
自動車の装置の故障により、運行できなくなったもの
車輪の脱落、被けん引自動車の分離を生じたもの
橋脚、架線などの鉄道施設を損傷し、3時間以上本線で鉄道車両の運転を休止させたもの
高速自動車国道または自動車専用道路で、3時間以上自動車の通行を禁止させたもの
国土交通大臣が特に必要と認めて、報告を指示したもの

報告は、所定の様式(自動車事故報告書)で、その自動車の使用の本拠の位置を管轄する運輸支局等に、原則として、事故があった日から30日以内に提出します。救護義務違反があったものは、救護義務違反があったことを知った日から30日以内、国土交通大臣が報告を指示したものは、指示があった日から30日以内です。

24時間以内の速報が必要な事故

次のような特に重大な事故は、24時間以内に、できるだけ速やかに、電話その他必要な方法で、管轄する運輸支局等に報告が必要です(FAQ)。

速報が必要な事故(FAQ)
2人以上の死者を生じたもの
5人以上の重傷者を生じたもの
10人以上の負傷者を生じたもの
危険物などの積載物が飛散し、または漏えいしたもの(転覆・転落・火災・衝突などによるものに限る)
酒気帯び運転を伴うもの
脳疾患、心臓疾患および意識喪失に起因すると思われるもの
仮の例期限
4月10日に、重傷者を生じた事故が起きた自動車事故報告書の提出は、30日以内(5月10日まで)
同じ日に、2人以上の死者を生じた事故になった4月11日(24時間以内)を目安に、できるだけ速やかに、電話などで速報し、そのうえで報告書を30日以内に提出

国土交通省は、重大な事故を引き起こしたときに、報告せず、または虚偽の報告をした場合は、50万円以下の過料と示しています。対象になるか迷う場合は、自己判断せず、運輸支局に確認してください。

再び乗務する前に

FAQでは、事故を起こした運転者に対して、特別な指導と、適性診断(特定診断)が必要とされています。いずれも、原則として再び乗務する前に行い、やむを得ない事情がある場合は、乗務再開後1か月以内とされています。どの診断が必要かは、事故の内容と、過去の事故歴によって変わります。診断の種類と料金は軽貨物ドライバーの適性診断で整理しています。

事故を起こした運転者への特別な指導は、事業用自動車の運行の安全の確保に関する法令等、事故の事例の分析に基づく再発防止対策、事故に係る運転者の生理的・心理的要因と対処法、危険の予測と回避などの内容を、添乗指導以外で合計5時間以上行うものとされています。ただし、事故のあとに貨物軽自動車安全管理者講習を受講した場合は、特別な指導を実施したものとみなすことができるとFAQで説明されています。一人で事業をしている場合は、自らが指導すべき内容を理解する必要があり、外部の専門機関の活用も有効とされています。

事故の原因を振り返り、再発防止対策を事故記録に書くことは、義務であると同時に、自分の働き方を見直す機会にもなります。疲れがたまる時間帯や、急いでしまいがちな場面がなかったかを確認し、勤務時間や配送ルートの組み方を見直しましょう。勤務時間の基準は運賃料金設定届出書とはで説明しています。

よくある質問

軽い接触事故でも、警察に連絡しますか?

道路交通法第72条では、交通事故があったときは、運転者は、直ちに最寄りの警察署の警察官などに、日時や場所、損壊した物とその程度、講じた措置などを報告しなければならないとされています。事故の大きさにかかわらず、警察に連絡してください。

リース会社には、いつ連絡しますか?

契約によって異なります。多くの契約で、事故があったときの連絡が決められているため、契約書で確認しておきましょう。現場での対応が落ち着いたら、できるだけ早く連絡し、修理の進め方や代車、費用負担の扱いを確認します。

自損事故(相手のいない事故)でも、事故記録は必要ですか?

FAQでは、事業用自動車に係る事故が発生した場合に、事故記録を作成するとされています。自損事故を含めて、どこまでが対象かに迷う場合は、運輸支局に確認してください。人身事故や物損事故が起きた場合は、業務記録にも、その概要と要因を記録します。

事故の報告を忘れたら、どうなりますか?

国土交通省は、重大な事故を引き起こしたときに、報告せず、または虚偽の報告をした場合は、50万円以下の過料と示しています。期限は、原則として事故があった日から30日以内です。

事故報告書は、どこに出しますか?

FAQでは、自動車事故報告書の提出先は、その自動車の使用の本拠の位置を管轄する運輸支局等とされています。様式は、国土交通省のウェブサイトに掲載されています。

事故のあと、リース契約はどうなりますか?

車が全損になった場合や、修理が長引いた場合の扱いは、契約書によって違います。契約を途中で終えることになる場合は、中途解約の扱いや、解約料の有無を、リース会社に確認してください。

まとめ

軽貨物で事故が起きたら、まず、直ちに運転を止めて、負傷者の救護と道路の危険の防止を行い、警察に報告します。そのうえで、保険会社、リース会社、取引先へ連絡します。事故の記録は、営業所で3年間保存し、死傷者が出た事故などは、30日以内に運輸支局等へ報告します。リース車の場合、事故時の連絡先や修理費の負担、全損時の扱いは、契約によって異なるため、契約前に書面で確認しておきましょう。

ケイモビは比較メディアであり、審査・契約・納車・整備は各サービス提供会社が行います。リースで車を用意する場合は、事故時の条件も含めて比べられるよう、比較のポイントや無料プラン診断もご利用ください。開業全体の流れは軽貨物で開業する手順で確認できます。

出典・確認先

本記事は一般的な情報です。契約条件は各サービス提供会社の公式情報を、税務・手続きについては専門家や公式窓口をご確認ください。

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