運賃料金設定届出書とは|軽貨物の運賃料金表の作り方

運賃料金設定届出書とは|軽貨物の運賃料金表の作り方

黒ナンバーの手続きを調べていると、経営届出書と一緒に「運賃料金設定届出書」や「運賃料金表」を出すように書かれています。委託の仕事を受ける予定で、自分で運賃を決めるつもりがない人ほど、「何を書けばいいのか」「金額はどう決めるのか」と戸惑いやすい書類です。

この記事では、運賃料金設定届出書の役割と記載項目、運賃料金表の見本の構成、運輸支局による書き方の違い、自分の運賃を考えるときの手順(仮の数字の例)、届出後に運賃を変えるときの注意点を、運輸支局が公開している記載例や案内をもとに説明します。見本に載っている金額は、記入例であり、推奨された金額ではありません。

この記事のポイント

  • 運賃料金設定届出書は、運賃と料金を設定(変更)したことを届け出る書類。新たに始める場合は、経営届出書と同時に提出してよい(長野運輸支局の公示)
  • 運賃料金の書類は、運輸支局によって、運賃料金表を作る方法と、届出書に直接書き込む方法がある
  • 運賃料金表の様式に決まりはなく、記載例の見本を参考に、任意の様式で作成できる
  • 委託を受ける場合は、委託主に、料金表の有無や料金額を確認する(長野運輸支局の案内)
  • 金額は、固定費・走るほど増える費用・働ける時間から、逆算して考えると、根拠を説明しやすい

運賃料金設定届出書とは

運賃料金設定届出書は、運送事業者が荷主から受け取る運賃と料金を、設定(または変更)したことを届け出る書類です。滋賀運輸支局の記載例では、貨物自動車運送事業報告規則第2条の2に基づく届出として、様式が示されています。長野運輸支局の公示(平成18年8月29日)では、この届出書は、貨物軽自動車運送事業経営届出書と同時に提出しても差し支えないとされています。

滋賀運輸支局のよくある質問では、貨物軽自動車運送事業を新たに始める場合、経営届出書、運賃料金設定届出書、運賃料金表、事業用自動車等連絡書を提出すると案内されています。つまり、黒ナンバーを取る段階で、運賃料金の書類も用意しておく必要があります。経営届出書の書き方は貨物軽自動車運送事業経営届出書の書き方と提出先で説明しています。

届出書に書く項目

項目記入のしかた(滋賀運輸支局の記載例より)
氏名又は名称、住所個人は、本人の氏名と住所
事業の種別「貨物軽自動車運送事業」
運賃・料金を適用する運行系統又は地域記載例では「全国」
運賃・料金の種類、額、適用方法種類別、額別、適用方法別に、「別添のとおり」として、運賃料金表を添付する
実施年月日事業を始める日
変更を必要とした理由運賃を変更する場合に記入する

届出書そのものは1枚で、金額の中身は、別添の運賃料金表で示す形です。適用する地域は、記載例では「全国」と書かれています。特定の地域だけで運賃を分けたい場合など、記載例と違う書き方をしたいときは、提出前に運輸支局へ確認しておくと、窓口でのやり直しを防げます。

運賃料金の書類は、運輸支局によって書き方が違う

長野運輸支局のページには、黒ナンバーの取得の際は、運賃料金を設定し、その額を記載した書面を、運輸支局へ提出する必要があると書かれています。書類の作成方法は、次の2つのどちらかです。

方法内容(長野運輸支局のページより)
その1:運賃料金表を作成する例を参考に作成する。様式に決まりはなく、任意の様式でよい
その2:運賃料金設定届出書に直接書き込む例の様式を参考に、届出書に記載する。この場合は、運賃料金表の添付は不要

一方で、滋賀運輸支局のよくある質問や、京都運輸支局のページでは、運賃料金表(提出用・控え用の計2部)を、経営届出書などと一緒に提出する形で案内されています。どの方法を使えるかは、運輸支局によって違うため、営業所を管轄する運輸支局のページや窓口で、事前に確認してください。

運賃料金がわからないときは

長野運輸支局のページには、運賃料金がわからない場合の案内もあります。運送事業者等より委託を受ける場合は、委託主に、料金表を持っていないか、料金額を確認するよう案内されています。フードデリバリーサービスの場合は、各サービスのホームページに運賃料金表の掲載があったり、規約等に運賃料金についての記載があったりするため、確認するよう案内されています。

運賃料金表の作り方|見本の構成

滋賀運輸支局の記載例には、運賃料金表の見本が付いています。見本は、次の5つのブロックで構成されています。見本に載っている金額や割増率は、記入例です。そのまま写すのではなく、自分の原価と働き方に合わせて決めましょう。

ブロック見本の内容(滋賀運輸支局の記載例)
1. 距離制運賃距離の区切りごとの運賃。見本では、10kmまで〜50kmまでは1km当たり160円(10kmまでで1,600円、50kmまでで8,000円)、60km〜100kmまでは1km当たり130円(60kmまでで9,300円、100kmまでで14,500円)。100kmを超える場合は、1kmごとに90円を加算
2. 時間制運賃1日8時間を基本として、1日貸切料金14,400円、1時間増すごとに1,800円を加算。1時間未満の場合は、30分増すごとに800円を加算
3. 諸料金待機時間料は30分までごとに800円。積込料・取卸料は、積込み・取卸し時間15分までごとに400円。附帯業務料は、荷造り、仕分、検品、棚入れなどの費用を実費として収受
4. 運賃割増率品目による割増(易損品、特殊物件)、特大品割増、休日割増(日曜・祝祭日に運送した距離に限る:2割)、深夜早朝割増(午後10時から午前5時までに運送した距離:3割)
5. 運賃料金の適用方法1車1回ごとに計算する、端数の扱い、距離は実キロ程によるものとして、経路が2以上あるときは最短となる経路のキロ程で計算する、休日・深夜早朝割増の計算式

様式は任意のため、使わない運賃の種類(たとえば、時間制のみで受ける場合の距離制)をどう扱うかは、運輸支局に確認すると確実です。

軽貨物の運賃の決め方|原価から逆算する

運賃は、相場の数字から決めるよりも、自分の原価から逆算するほうが、根拠を説明しやすくなります。次の手順で整理してみてください。

運賃を原価から逆算する4つの手順

  1. 月の固定費を出す車両の支払い(リース料など)、任意保険料、駐車場代、通信費など、走っても走らなくてもかかる費用
  2. 走るほど増える費用燃料費、タイヤやオイルなどの消耗品、高速道路料金。1kmあたり、または1時間あたりで見積もる
  3. 働ける時間を決める国土交通省が示す、勤務時間の基準の範囲で、働ける時間の上限を確認する
  4. 単価に直す固定費、変動費、手元に残したい金額を足して、距離や時間で割る

距離制で考えるか、時間制で考えるかは、仕事の内容によって選びます。

働ける時間には、上限がある

国土交通省の安全対策のよくある質問では、運転者の勤務時間について、遵守する必要がある内容として、次のものが示されています。一人で事業を行う場合も、これらの範囲で勤務時間を設定する必要があります。

項目国土交通省が示す内容
1年・1か月の拘束時間1年に3,300時間以内、1か月に284時間以内
1日の拘束時間13時間以内(上限15時間、14時間超は週2回までが目安)
1日の休息期間継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、9時間を下回らない
合計運転時間2日平均で1日9時間以内、2週平均で1週44時間以内
連続運転時間4時間以内。運転の中断時には、原則として休憩が必要で、1回おおむね連続10分以上、合計30分以上

仮の数字で、単価を出してみる

月の固定費が53,000円(リース料30,000円、任意保険10,000円、駐車場8,000円、通信費5,000円。すべて仮)、走るほど増える費用が1kmあたり15円(燃料と消耗品。仮)、月の走行距離が1,750km(1日70km×25日。仮)、手元に残したい金額が月250,000円(仮)の場合を考えます。

項目(すべて仮の数字)計算金額
月の固定費リース料+保険+駐車場+通信費53,000円
走るほど増える費用15円 × 1,750km26,250円
手元に残したい金額250,000円
必要な月の売上53,000円 + 26,250円 + 250,000円329,250円
1日あたり(25日稼働)329,250円 ÷ 25日約13,170円
全走行距離で割った1kmあたり329,250円 ÷ 1,750km約188円
荷物を運ぶ距離(走行の70%と仮定)で割った1kmあたり329,250円 ÷ 1,225km約269円
1日10時間・25日(250時間)で割った1時間あたり329,250円 ÷ 250時間約1,317円

走行距離のうち、荷物を運んでいない距離(配送先から次の集荷先への移動など)は、運賃になりません。この仮の例では、走行距離の70%だけが荷物を運ぶ距離とすると、1kmあたり約269円が必要になります。見本の1km当たり160円と比べると、自分の原価と見本の数字が、必ずしも一致しないことがわかります。税金や社会保険料をどう見込むかは、税理士などの専門家に相談してください。維持費の整理は軽貨物の車両維持費で説明しています。

待機や、荷物の積み下ろし、仕分けなどの附帯作業に時間がかかる仕事では、諸料金として、きちんと設定しておくことも大切です。1日の拘束時間の上限(13時間以内)の中で、待機や積み下ろしの時間も含まれるためです。

運賃を変更するとき

記載例の様式名は「運賃料金設定(変更)届出書」で、変更を必要とした理由を記入する欄があります。燃料費の上昇や仕事内容の変化で運賃を見直したときは、同じ様式で変更の届出を行います。長野運輸支局の公示では、運賃及び料金の設定届出書は、設定または変更後30日以内に提出することとされています。京都運輸支局のページには、「運賃料金変更届出表紙」の様式も案内されています。

いつまでに届け出るか、どの範囲の変更が対象になるかは、運輸支局によって取り扱いが違う場合があります。営業所を管轄する運輸支局に確認してください。委託の仕事が中心で、実際の報酬が委託元との契約で決まる場合でも、届出は事業者として必要な手続きです。届け出た運賃と実際の取引条件の関係について迷うときは、自己判断せず運輸支局に相談しましょう。

提出前のチェックリスト

運賃料金表と届出書を窓口に持っていく前に、次の点を確認しておきましょう。書類に誤りや記載漏れがあると受け付けられず、郵送の場合は返却されると、滋賀運輸支局のよくある質問で案内されています。

  • 届出書の「種類・額・適用方法」が「別添のとおり」になっていて、運賃料金表を添付している(運賃料金表を使う運輸支局の場合)
  • 実施年月日が、経営届出書の開始予定日とそろっている
  • 運賃料金表に、運賃の計算単位(1車1回ごとなど)、距離の測り方、端数の扱いといった適用方法が書かれている
  • 待機や積み下ろし、附帯作業など、実際に発生しそうな作業の料金が漏れていない
  • 休日や深夜早朝に走る予定があるなら、その割増の扱いを決めている
  • 控えが必要な場合に備えて、同じものを2部用意している

運賃料金表は、届け出たあとも、取引先に料金を説明するときの基準になります。作りっぱなしにせず、燃料費や仕事内容が変わったタイミングで見直しましょう。

よくある質問

運賃は、自由に決めてよいのですか?

運輸支局の案内では、事業者が運賃料金を設定して、その額を届け出る形になっています。金額の決め方は、各事業者の判断ですが、届出書には、設定した運賃と料金の種類、額、適用方法を記載します。委託を受ける場合は、委託主に、料金表の有無や料金額を確認するよう、長野運輸支局のページで案内されています。

委託の仕事で、報酬が決まっているときは、何を書きますか?

長野運輸支局のページでは、運送事業者等より委託を受ける場合は、委託主へ確認するよう案内されています。届出は、事業者として必要な手続きです。届け出た運賃と実際の取引条件の関係について迷うときは、運輸支局に相談してください。

運賃料金表を作らずに、届け出られますか?

運輸支局によります。長野運輸支局のページでは、運賃料金設定届出書に直接書き込む方法があり、この場合は、運賃料金表の添付は不要とされています。一方で、運賃料金表の提出を案内している運輸支局もあります。管轄の運輸支局に確認してください。

休日や深夜早朝の割増は、必ず入れますか?

見本には、休日割増や深夜早朝割増が載っていますが、見本の数字は記入例です。割増を設定するかは、自分の働き方に合わせて決めます。休日や深夜早朝に走る予定がある場合は、その扱いを決めておくと、あとで取引先に説明しやすくなります。

運賃を変えたときは、いつまでに届け出ますか?

長野運輸支局の公示では、設定または変更後30日以内に提出することとされています。取り扱いは運輸支局によって違う場合があるため、変更の届出の時期は、管轄の運輸支局で確認してください。

見本の金額を、そのまま使ってもいいですか?

見本の金額や割増率は、記入例です。そのまま写すのではなく、自分の固定費、走るほど増える費用、働ける時間から、金額を決めておくことをおすすめします。

まとめ

運賃料金設定届出書は、黒ナンバーを取るときに経営届出書と一緒に出す書類で、金額の中身は、別添の運賃料金表で示します(運輸支局によっては、届出書に直接書き込む方法もあります)。運賃料金表は、運輸支局の見本を参考に、任意の様式で作れますが、金額は、自分の固定費・変動費・働ける時間から逆算して決めておくと、取引先との交渉にも使えます。委託を受ける場合は、委託主に確認しましょう。

届出後の流れは黒ナンバーの取得方法で確認してください。ケイモビは比較メディアであり、審査・契約・納車・整備は各サービス提供会社が行います。リースで車を用意する場合は、比較のポイントや無料プラン診断もご利用ください。

出典・確認先

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