委託先の車両貸出と自分で契約するリースの比較|軽貨物の働き方別

委託先の車両貸出と自分で契約するリースの比較|軽貨物の働き方別

軽貨物の仕事を始めるとき、車の用意の仕方は、大きく2つに分かれます。仕事を受ける委託先から車を借りる方法と、自分でリース会社と契約する方法です。前者は、仕事と車をまとめて始めやすく、後者は、車の契約を仕事から切り離して持てるのが特徴です。どちらが合うかは、働き方の見通しによって変わります。

委託先からの車両貸出は、契約の形が委託先ごとに異なり、一律の決まりがあるわけではありません。この記事では、運輸支局や公正取引委員会などの公的な情報で確認できる仕組みを押さえたうえで、2つの方法を比較し、契約書で確認したい項目と、やめるときの流れを整理します。契約の個別の判断はできないため、迷うときは、記事の最後に挙げる相談窓口を使ってください。

この記事のポイント

  • 黒ナンバーの登録では、車検証上の使用者は運送を行う事業者でなければならない(運輸支局の説明)
  • 委託先の車両貸出は、「仕事の契約」「車の契約」「黒ナンバーの届出」の3つを、別々に確認する
  • 公正取引委員会は、フリーランスに業務を委託した事業者は、報酬の額などの取引条件を書面か電子メール等で明示しなければならず、口頭だけでは足りないと説明している
  • 自分で契約するリースは、取引先を変えても車を使い続けやすい一方、原則として中途解約ができない
  • どちらの場合も、やめるときの車の返却、リース料の支払い、黒ナンバーの届出の流れを、契約前に確認する

押さえておきたい「使用者」と届出のしくみ

北陸信越運輸局 長野運輸支局のよくある質問では、所有権付の車両(リース、ローン、分割払い)でも、黒ナンバーの登録ができるが、車検証上の使用者は、運送を行う事業者でなければならないと説明されています。また、貸す側が使用者になる場合の事業が「レンタカー」、借りる側が使用者になる場合の事業が「リース」だと説明されています。

自分の名前で黒ナンバーを取って事業を行う場合は、自分が使用者として登録できる契約かどうかが、出発点になります。委託先から車を借りる場合も、車検証上の使用者が誰になるのか、黒ナンバーの届出を誰が行うのかは、契約の形によって変わります。借りる前に、委託先と管轄の運輸支局に確認しておきましょう。

近畿運輸局 滋賀運輸支局のよくある質問には、軽自動車(黒ナンバー)の使用者名義を変更したい場合は、現在の使用者が減車届(1台のみの場合は廃止届)を、次の名義の方が増車届(初めて黒ナンバーを付ける場合は経営届)を提出すると案内されています。同じ質問集では、経営可能な車両は1台からで、輸送課での手続きに費用はかからず、届出なので受け付けた段階で効力が発生すると案内されています。

同じ滋賀運輸支局の質問集では、令和7年4月1日以降に事業を開始する場合、貨物軽自動車安全管理者の講習の受講・選任・届出と、初任運転者等への指導および適性診断の受診などが必要になると案内されています。自分で届出を行う場合は、貨物軽自動車安全管理者の選任も、車の用意と並行して進める必要があります。

3つの契約・手続きを、別々に確認する

  1. 仕事の契約業務委託の条件。報酬の額、支払期日、契約の期間、やめるときの予告など
  2. 車の契約車の貸出(またはリース)の条件。利用料、期間、返却、整備や事故の負担など
  3. 黒ナンバーの届出車検証上の使用者と、経営届出を行う人。名義を変えるときの届出

委託先の車両貸出は、この3つが1つの書面にまとまっていることも、別々の書面になっていることもあります。どの書面に何が書かれているかを確認します。

比較表:委託先の車両貸出と自分で契約するリース

委託先の車両貸出の列は、一般的な決まりではなく、「契約で確認する項目」として読んでください。

観点委託先の車両貸出自分で契約するリース
車の契約の相手仕事の委託先などリース会社
車検証上の使用者契約で確認借りる側(運輸支局の説明による)
黒ナンバーの届出誰が届出を行うかを契約で確認自分が経営届出を行う
始めるまでの手間仕事と車をまとめて相談できる場合がある車の選定、審査、黒ナンバーの手続きを、自分で進める
費用の払い方別払いか、報酬からの差し引きかを確認リース会社へ、月額を支払う
他の取引先の仕事への利用契約で確認契約の利用条件の範囲で使える
仕事が減ったとき車の契約が仕事と結び付いているかで変わるリース料の支払いは、仕事が減っても続く
仕事をやめるとき車の返却時期と、精算の有無を確認原則として中途解約ができず、解約できても解約金等が生じるのが通常

委託先の車両貸出で確認したいこと

委託先から車を借りる方法は、車を探す手間が少なく、仕事と車をまとめて始めやすい点が利点です。一方で、仕事の契約と車の契約が結び付いていると、取引先を変えるときや仕事をやめるときに、影響が出る可能性があります。次の点を書面で確認しておきましょう。

確認する項目確認する理由
車の利用料の金額と、支払い方法(別に支払うのか、報酬から差し引かれるのか)手取りの報酬が、いくらになるかを決める。報酬の額との関係を、書面で確かめる
車の契約の期間と、仕事の契約が終わったときの車の扱い仕事をやめたときに、車の契約がいつまで残るかが決まる
その車を、他の取引先の仕事や、私用に使えるか複数の取引先と仕事をするときの、自由度が決まる
車検証上の使用者と、黒ナンバーの届出を行う人名義と届出によって、事業を行う人が誰になるかが決まる
整備や修理、事故のときの連絡先と費用の負担、保険の範囲故障や事故で、収入が途切れたときの負担が決まる
返却時の傷や走行距離の扱い、精算が発生する条件返却のときに、思わぬ精算が出るのを防ぐ

取引条件は、口頭ではなく書面で示される

公正取引委員会のフリーランス法特設サイトでは、従業員を使用しない業務委託の相手方(フリーランス)に業務を委託した事業者には、取引条件を、直ちに書面または電磁的方法(メール、SNSのメッセージ等)で明示する義務があると説明しています。口頭での明示は認められず、明示する事項は次の9つとされています。

明示する事項車の貸出との関係で、確認したいこと
給付の内容仕事の内容。車を使う前提の仕事かどうか
報酬の額車の利用料との関係。差し引かれる場合は、その額と理由
支払期日報酬がいつ支払われるか
業務委託事業者・フリーランスの名称契約の相手が、誰か
業務委託をした日契約の始まりの日
給付を受領する日/役務の提供を受ける日稼働する日や期間
給付を受領する場所/役務の提供を受ける場所稼働するエリア
(検査をする場合)検査完了日検査がある場合の期日
(現金以外の方法で報酬を支払う場合)支払方法に関して必要な事項現金以外の方法での支払いがある場合の条件

同じ説明では、報酬の支払期日は、物品等を受け取った日から数えて60日以内のできる限り短い期間内で定め、決めた期日までに支払う必要があるとされています。業務委託の条件と車の貸出の条件が、どの書面に書かれているかを確かめ、口頭の説明だけで判断しないようにしましょう。

報酬から差し引かれるとき、車を指定されるとき

公正取引委員会は、フリーランスに1か月以上の業務を委託した場合に、7つの行為を禁止していると説明しています。このうち2つは、車の貸出と関わる場面で確認したい内容です。

禁止されている行為公正取引委員会の説明
報酬の減額フリーランスの責めに帰すべき事由がないのに、発注時に決定した報酬を、発注後に減額すること。協賛金の徴収など、名目や方法、金額にかかわらず、こうした減額行為が禁止されている
購入・利用強制正当な理由がないのに、発注事業者が指定する物(製品、原材料等)や役務(保険、リース等)を、強制して購入・利用させること。自社の取引先や関連会社の製品やサービスも含まれる

公正取引委員会のよくある質問では、購入・利用強制の対象に、保険やリースなどのサービスも含まれると説明されています。委託先が、特定のリース会社の車を使うことを求める場合や、車の利用料を報酬から差し引くことが、この法律でどう扱われるかは、契約の内容や、個別の事情によって変わります。確認できた範囲では、公正取引委員会のサイトに、委託先が車を貸し出す場合を個別に取り上げた説明は、見つかりませんでした。契約書の内容に納得できない、または法律に当たるかが分からないときは、「フリーランス・トラブル110番」(弁護士に無料で相談できる窓口)や、公正取引委員会の窓口に相談してください。

自分で契約するリースで確認したいこと

自分でリースを契約すると、車の契約が仕事の契約から独立するため、取引先を増やしたり変えたりしても、同じ車を使い続けやすくなります。車種や整備の範囲を、自分で選べるのも利点です。その代わり、仕事の量が減っても、月額の支払いは続きます。

国民生活センターは、カーリースは原則として中途解約ができず、解約できる場合でも、通常は解約金や違約金が生じること、多くの場合に、走行距離などの利用制限があることを説明しています。走行距離の上限、満了時の扱い、中途解約の条件は、契約前に確認しておきたい項目です。詳しくはカーリースの走行距離制限とカーリースの中途解約と軽貨物をやめる時の注意点で説明しています。

審査や黒ナンバーの手続きをまとめて相談したい場合は、黒ナンバー取得代行付きリースで確認したいことも参考にしてください。リース全体のしくみは軽貨物のカーリースの仕組みで解説しています。

仕事をやめたあとも、リース料の支払いは続く(仮の例)

たとえば、月額30,000円(仮)のリースを、36か月契約で結び、12か月目で仕事をやめたとします。契約を続ける場合、残りの24か月で、30,000円×24か月=72万円(仮)を払い続けることになります。契約の途中で解約できる場合は、解約金などが生じます。

国民生活センターには、契約期間内にカーリースの解約を申し出たところ、約50万円の解約料を請求されたという相談事例が紹介されています。仕事をやめる可能性が少しでもあるなら、中途解約の可否と、解約料の計算方法・金額を、契約前に書面で確かめておきましょう。

働き方の見通し別|比べるときの考え方

次の表は、考え方の一例です。いずれも目安であり、実際には契約の条件で判断してください。

働き方の見通し候補になる方法先に確認すること
1つの委託先で、まず試してみたい委託先の車両貸出仕事をやめたときに、車をいつ返すか。精算があるか。車の利用料が、報酬から差し引かれるか
複数の取引先と、長く働きたい自分で契約するリース契約期間と走行距離の条件が、続ける見通しと仕事量に合うか
続けるかどうか、まだ分からないどちらの方法でも途中でやめる場合の負担を、金額で比べてから決める

車を借りる、買う、レンタルするを含めた比較はリース・レンタル・委託先貸出のどれを選ぶかと現金購入・ローン・リース・レンタルを比較で紹介しています。

委託をやめる・取引先を変えるときの流れ

やめるときに、確認する順番

  1. 仕事の契約契約の終了や更新しない旨の通知。期間や予告の条件を確認する
  2. 車の扱い委託先の車は、返却の時期と精算。自分のリースは、中途解約か、契約の継続か
  3. 黒ナンバーの届出使用者名義を変える場合の届出(減車届・廃止届・増車届など)
  4. 保険・連絡先保険の変更や解約、リース会社や委託先への連絡

順番は、契約の内容によって変わります。

  • 委託先の車を返す場合:返却の時期、返却前の点検や清掃、精算の有無を、契約書で確認する
  • 自分のリース車の場合:仕事をやめても契約は自動的に終わらない。中途解約の手続きと解約金を、提供会社に確認する
  • 黒ナンバーの届出:滋賀運輸支局のよくある質問では、使用者名義を変える場合、現在の使用者が減車届(1台のみの場合は廃止届)を、次の使用者が増車届(初めての場合は経営届)を提出すると案内されている

公正取引委員会のフリーランス法特設サイトでは、フリーランスに6か月以上の業務を委託している事業者が、その業務委託の契約を解除する場合や更新しない場合は、少なくとも30日前までに、書面・ファクシミリ・電子メール等の方法で予告しなければならないと説明しています。予告がされた日から契約が満了するまでの間に、フリーランスが解除の理由を請求した場合は、遅滞なく開示する必要があるとされています。自分の契約がこの対象になるか、車の貸出がどう扱われるかは、個別の事情によるため、判断に迷うときは相談窓口を使ってください。

よくある質問

委託先から借りた車で、他の会社の仕事をしてもいいですか?

契約によります。貸出車は、その委託先の仕事に使う前提になっていることがあります。他の取引先の仕事や私用に使えるかどうかを、契約前に書面で確認してください。複数の取引先と仕事をしたい場合は、自分を使用者とする車のほうが、動きやすくなります。

車の利用料が報酬から差し引かれるのは、問題ありませんか?

一概には言えません。公正取引委員会は、フリーランスの責めに帰すべき事由がないのに、発注時に決定した報酬を、発注後に減額することを禁止していると説明しています。車の利用料の差し引きがどう扱われるかは、契約の内容や事情によって変わります。差し引かれる金額と理由が、書面に書かれているかを確認し、納得できないときは、フリーランス・トラブル110番などに相談してください。

委託先から、指定のリース会社で契約するよう求められました。断れますか?

公正取引委員会は、正当な理由がないのに、事業者が指定する役務(保険、リース等)を強制して利用させることを、禁止行為のひとつとしています。ただし、1か月以上の業務委託が対象で、正当な理由があるかどうかは個別の事情によります。求められた理由と、断った場合の取り扱いを書面で確認し、迷うときは相談窓口を使ってください。

黒ナンバーは、誰の名義になりますか?

運輸支局の説明では、車検証上の使用者は、運送を行う事業者でなければなりません。自分で経営届出を行う場合は、自分が使用者になります。委託先の車を使う場合に、誰が使用者で、誰が届出を行うかは、契約によって異なるため、借りる前に委託先と管轄の運輸支局に確認してください。

フリーランス法は、自分に当てはまりますか?

公正取引委員会は、この法律の「フリーランス」を、業務委託の相手方である事業者で、従業員を使用しないものと説明しています。消費者から直接依頼を受ける取引や、売買は、対象にならないとされています。個別に当てはまるかは、公正取引委員会のサイトや相談窓口で確認してください。

委託先を変えるとき、リースの車はどうなりますか?

自分で契約したリースの車は、取引先を変えても、契約が続く限り使い続けられます。委託先から借りた車は、返却が必要になる場合があります。返却の時期と精算を、契約書で確認しておきましょう。

まとめ

委託先の車両貸出は、仕事と車をまとめて始めやすく、自分で契約するリースは、取引先が変わっても車を使い続けやすいという違いがあります。1つの委託先で試してみたいのか、複数の取引先と長く働きたいのかという見通しから考えると、選びやすくなります。どちらの場合も、使用者の名義、費用の払い方、やめるときの車の扱いを、契約書面で確認しましょう。

ケイモビは比較メディアであり、審査・契約・納車・整備は各サービス提供会社が行います。委託先の車両貸出の条件は、各委託先の契約書面で確認してください。自分でリースを契約する場合の条件を見比べるには比較のポイントを、働き方から候補を整理するには無料プラン診断をご利用ください。

出典・確認先

本記事は一般的な情報です。契約条件は各サービス提供会社の公式情報を、税務・手続きについては専門家や公式窓口をご確認ください。

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