軽貨物ドライバーの適性診断|初任診断の受け方

軽貨物ドライバーの適性診断|初任診断の受け方

これから軽貨物を始める人が、黒ナンバーの手続きと並んで準備しておきたいのが「適性診断」です。令和7年(2025年)4月から、軽貨物の事業者は、初めて乗務する運転者などに、国が認定した適性診断を受けさせることが義務になりました。一人で働く個人事業主の場合、受けるのは自分自身です。「どこで受けるのか」「予約は必要か」「いつまでに受けるのか」「費用はいくらか」と迷う人も多いはずです。

この記事では、適性診断の種類と対象者、受けるタイミング、料金と診断時間、予約から受診までの流れ、結果の保存と特別な指導を、国土交通省のよくある質問(FAQ)と、自動車事故対策機構(ナスバ)が示した資料をもとに解説します。料金や予約の手順は変わることがあるため、最新の案内は、各診断機関で確認してください。

この記事のポイント

  • 適性診断は、運転のクセや傾向を測定して、事故防止のための助言を受けるもの。合否を決める試験ではなく、指摘が多くても、運転業務を行えなくなるわけではない
  • 初任診断は、その事業者で初めて事業用自動車に乗務する前に受ける。やむを得ない事情がある場合は、乗務開始後1か月以内
  • 令和7年4月以降に経営届出をする事業者には、猶予期間がない。令和7年3月末までに届出をした事業者は、令和10年3月までに受診する
  • 国土交通省の認定を受けた機関で受ける。ナスバの資料では、初任診断・適齢診断は4,800円(税込)、診断は事前予約が必要
  • 結果は、特別な指導の記録とともに、貨物軽自動車運転者等台帳に添付して保存する

適性診断とは

国土交通省のFAQでは、適性診断を「運転者の運転傾向を確認する診断」と説明しています。運転の長所や短所といった「運転のクセ」をさまざまな測定で見つけ、それぞれに応じたアドバイスを受けることで、交通事故の防止に役立てるものです。

FAQでは、適性診断は運転者の運転のクセや傾向を確認するもので、指摘が多い場合であっても、運転業務を行ってはいけないというものではないと明記されています。結果を見て、自分の傾向や、運転時に注意すべきことを理解し、日々の運転に生かすことが目的です。なお、この義務は、バイク便の事業者には適用されません。

ナスバの資料によると、診断はパソコンの画面上で行う測定と、その結果をもとにしたカウンセリング(指導・助言)で構成されています。測定する項目は、次のように整理されています。

分類測定項目(ナスバの資料)
運転傾向判断・動作のタイミング、動作の正確さ、注意の配分、安全エコ運転度、先急ぎ運転度、危険感受性
性格感情の安定性、協調性、気持ちのおおらかさ、他人に対する好意
態度安全態度、予防安全運転度、思いやり運転度
体力疲労蓄積度、疾病(SAS等)、視覚機能

診断の種類によって、測定する内容は変わります。ナスバの資料では、適性診断は、全国50か所のナスバ支所で受診でき、パソコンを使って画面上で診断すると説明されています。

診断の種類・料金・診断時間

FAQでは、適性診断は4種類あり、対象となる運転者と受ける時期が決まっています。国土交通省のページには、診断時間の目安が、ナスバの資料には、料金(税込)が載っています。

種類対象者受ける時期診断時間の目安料金(税込)
初任診断所属する事業者の運転者として、初めて乗務する人初めて事業用自動車に乗務する前。やむを得ない事情がある場合は、乗務開始後1か月以内約2時間20分4,800円
適齢診断65歳以上の人65歳に達した日以後1年以内、その後は3年以内ごとに1回。65歳以上の人を新たに運転者として乗務させる場合は、その乗務の日から1年以内約2時間20分4,800円
特定診断Ⅰ死亡または重傷事故を起こし、かつ、その事故前の1年間に事故を起こしたことがない人。軽傷事故を起こし、かつ、その事故前の3年間に事故を起こしたことがある人再度乗務する前(やむを得ない事情がある場合は、乗務再開後1か月以内)約2時間40分9,300円
特定診断Ⅱ死亡または重傷事故を起こし、かつ、その事故前の1年間に事故を起こした人同上約5時間29,900円

料金は、令和8年1月14日の貨物軽自動車運送事業適正化協議会で、ナスバが示した資料(税込)の金額です。国土交通省の資料では、受診費用は、各診断実施機関ごとに設定されるため、詳細は各診断機関に問い合わせるよう案内されています。診断時間は、国土交通省のページに載っている目安です。

初任診断の対象になる人

FAQでは、初任診断は、その事業者で初めて事業用自動車に乗務する前3年間に、初任診断を受診したことがある人は、対象から除かれるとされています。国土交通省のページでは、初任運転者は、過去に一度も適性診断を受診していない場合は、その受診が必要と案内されています。これから開業する個人事業主の多くは、初任診断の対象になると考えておきましょう。

65歳以上の人が、新たに運転者として乗務を始める場合は、FAQでは、その乗務の日から1年以内に適齢診断を受けるとされています。また、65歳以上の運転者には、適齢診断の結果が分かってから1か月以内に、特別な指導を行う必要があります。年齢によって必要な診断が変わるため、自分がどれに当てはまるかを、開業前に確認しておきましょう。

受診の期限|すでに事業をしている人の猶予期間

経営届出の時期受診の期限
令和7年3月31日までに、経営届出を行った事業者令和10年3月までに受診する
令和7年4月1日以降に、経営届出を行う事業者猶予期間はない。初乗務の前に受診する

これから開業する人は、初乗務の前に受診を済ませる計画を立ててください。適性診断は予約が必要で、予約に必要なIDの発行にも日数がかかるため、黒ナンバーの手続きと並行して、早めに準備するのがおすすめです。

初任診断の受け方

適性診断は、国土交通省の認定を受けた機関で受ける必要があります。国土交通省のページには、認定機関の一覧が、都道府県ごとに載っています。ナスバのほかにも、自動車学校や、トラック協会など、認定を受けている機関があります。認定を受けている診断の名称は、機関ごとに違うため、受けたい診断(貨物の初任診断など)に対応しているかを、一覧で確認してください。

ここでは、ナスバが示した、ナスバ支所での予約方法を例に、流れを整理します。

ナスバ支所での受診の流れ(ナスバの資料をもとにした図)

  1. 予約フォームに入力ナスバのウェブサイトの「診断のご予約」から、「貨物軽(個人事業主)」向けの予約申請フォームに入力する
  2. IDとパスワードを受け取るメールで届く。返信には、2〜3営業日かかる
  3. 日時を予約する予約システムで、日時と支所を選ぶ。業態は「トラック」を選択する
  4. 受診する支所で、パソコンを使った測定と、カウンセリングを受け、適性診断票を受け取る

予約方法や画面の項目は、変わることがあります。最新の手順は、各診断機関の案内で確認してください。

ナスバの資料では、予約フォームで入力する項目に、メールアドレス、氏名、電話番号、受診希望の支所などがあります。IDの発行は、原則として、1人につき1つとされています。また、ナスバとの利用契約を結んだ事業者(契約事業者)は、自分の事業所内で適性診断を受けられるとされています。個人事業主は、ナスバの資料で、「貨物軽(個人事業主)」向けの予約フォームから、予約する流れが案内されています。

結果の保存と、特別な指導

FAQでは、適性診断の結果は、特定の運転者に対する特別な指導の記録とともに、貨物軽自動車運転者等台帳に添付して保存するよう案内されています。台帳は、運転者等ごとに、作成番号、作成年月日、事業者の氏名、運転者の氏名と生年月日、初めて運行の業務に従事した年月日、特別な指導の実施と適性診断の受診の状況などを記載して、営業所に備え置くものです。一人で事業をしている場合も、自分の台帳を作っておきます。運転者でなくなったときは、その年月日と理由を記載して、3年間保存します。

初任運転者には、適性診断とは別に、「特別な指導」も必要です。FAQによると、特別な指導は、初めて乗務する前に実施し、やむを得ない事情がある場合は、乗務開始後1か月以内に実施します。内容は、貨物自動車運送事業法その他の法令に基づき、運転者が守るべき事項や、運行の安全を確保するために必要な運転に関する事項を、添乗指導以外で合計5時間以上行うこととされています。

ただし、FAQは、乗務前3年以内に貨物軽自動車安全管理者講習を受講した場合は、初任運転者に対する特別な指導を受けたものとみなすことができるとしています。一人で事業をしている場合は、自らが指導すべき内容を理解する必要があり、民間の研修機関など、外部の専門機関の活用も有効とされています。講習と選任の流れは貨物軽自動車安全管理者とはで説明しています。

指導や診断の記録は、書面でも、パソコンやスマートフォンでの電磁的な保存でも構いません。日々の記録の付け方は軽貨物の業務記録とはもあわせて確認してください。

事故を起こしたとき・65歳になったとき

場面必要な診断・指導(FAQ)
65歳以上になったとき適齢診断を、65歳に達した日以後1年以内、その後は3年以内ごとに1回受診する。適齢診断の結果が分かった後、1か月以内に、特別な指導を行う
死亡または重傷事故を起こしたとき特定診断Ⅰまたは特定診断Ⅱ(事故前の事故歴による)を、再度乗務する前に受診する。特別な指導も必要
軽傷事故を起こしたとき事故前の3年間に事故を起こしたことがある場合は、特定診断Ⅰを受診する

事故を起こした運転者への特別な指導は、事故の再発防止対策や、危険の予測と回避などの内容を、添乗指導以外で合計5時間以上行うこととされています。事故のあとに貨物軽自動車安全管理者講習を受講した場合は、特別な指導を実施したものとみなすことができるとFAQで説明されています。事故のときの対応は軽貨物で事故が起きたらで説明しています。

開業前の準備チェック

  • 認定機関の一覧から、通いやすい診断機関を決めた
  • 予約に必要なID発行の申請を済ませた(返信に2〜3営業日かかる場合がある)
  • 初乗務の日より前に、受診日を確保した
  • 安全管理者講習の受講日を決め、特別な指導の扱いを確認した
  • 適性診断票を保存する、貨物軽自動車運転者等台帳を用意した
  • 65歳以上で開業する場合は、適齢診断の時期も確認した

よくある質問

適性診断で、悪い結果が出たら、運転できなくなりますか?

いいえ。FAQでは、適性診断は運転のクセや傾向を確認するもので、指摘が多い場合であっても、運転業務を行ってはいけないというものではないと明記されています。結果を、事故防止に役立てるためのものです。

受診料は、いくらですか?

令和8年1月にナスバが示した資料では、初任診断と適齢診断が4,800円、特定診断Ⅰが9,300円、特定診断Ⅱが29,900円(いずれも税込)です。国土交通省は、受診費用は診断実施機関ごとに設定されると案内しているため、受ける機関に確認してください。

予約なしで、受けられますか?

ナスバの資料では、予約が必要とされています。予約に必要なIDとパスワードは、メールで届き、返信には2〜3営業日かかると案内されています。他の認定機関も、予約の方法は機関ごとに違うため、事前に問い合わせてください。

ナスバ以外でも、受けられますか?

国土交通省のページに、認定機関の一覧があり、自動車学校やトラック協会なども載っています。認定を受けている診断の種類は、機関ごとに違うため、貨物の初任診断に対応しているかを確認してください。

別の事業者で、すでに初任診断を受けています。もう一度、受けますか?

FAQでは、その事業者で初めて事業用自動車に乗務する前3年間に、初任診断を受診したことがある人は、初任診断の対象から除かれるとされています。3年を超えている場合などは、対象になる可能性があります。迷うときは、運輸支局に確認してください。

診断の結果は、どのくらい保存しますか?

FAQでは、適性診断の結果は、特別な指導の記録とともに、貨物軽自動車運転者等台帳に添付して保存するとされています。運転者でなくなった場合の台帳は、その年月日と理由を記載して、3年間保存します。

まとめ

軽貨物の適性診断は、令和7年4月から義務化された安全対策のひとつで、これから開業する個人事業主は、初めて乗務する前に初任診断を受ける必要があります。国土交通省が認定した機関で、事前に予約して受診し、結果は運転者等台帳に添付して保存します。予約やIDの発行に日数がかかることもあるため、黒ナンバーの手続きや、安全管理者の選任と並行して、早めに準備しましょう。

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